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「楽しい」を増やしたい~岸岡智樹のラグビー教室、2年目の挑戦

ラグビー選手岸岡智樹が主宰する「岸岡智樹のラグビー教室」
2022年に2シーズン目を迎える。

昨年は現役リーグワンの選手が自らラグビー教室を主催するだけでニュースになった。

内容が問われる2年目の今年は、更に進化した新たなラグビー教室に挑む。昨年開催がなかった5か所でのラグビー教室に加えて、1泊2日の合宿「サマーキャンプ」を4か所で開催する。

新たな挑戦に向かう岸岡選手に話を聞いた。

合宿形式で「すこしでも時間を増やしたい」

今年のラグビー教室の最大の特徴は「合宿」だ。
1泊2日の合宿では、グラウンドではパススキルを中心に実践トレーニングをする。それに加えてグラウンド外で一緒に生活をすることも重要視する。

合宿形式にしたのは「参加する子どもの時間を増やす」という簡単な理由だった。さらには岸岡選手自身がグラウンド外で学んだ経験が大きい。

昨年も僕自身は頑張って廻った感覚はあるが、参加した子どもからしたら年に1回で、かつ1回は2時間あまり。0/1で考えればあったほうがいいが、それを2,3ともっとあったほうがいいと思った。内容が濃いとか記憶に残るとか。ただし現実問題として同じ場所に2回、3回と行くのは時間的に難しい。1回で行ける中で1分でも多く、グラウンド外でも持って帰るきっかけを作りたい。そのために、少しで時間を増やすことを考えた。

2日間通ってもよいが、ラグビーをするのはグラウンド以外のところで学べることも多い。僕自身がグラウンド外で学んで成長を感じられた。衣食住、共同生活をする、食事を一緒にする等、その私生活の部分まで学びのポイントを作り出せる。

グラウンド内外の学びで成長する

1泊2日の合宿では、ラグビー教室よりもグラウンドでの実践が長いことはもちろん、グラウンド外も重視する。

グラウンド内:
 パススキルの向上を目的とした実践
グラウンド外:
 座学+共同生活から学ぶ

新たな試みとして「座学」が入る。
岸岡選手が小中学生に何を伝えるのか。

めちゃくちゃそれ考えていて (笑)

が第一声だった。教職取得のための教育実習で45分の授業を担当したから、何かを伝えるためには45分がいかに短いかを知っている。とはいえ小中学生には長い座学は難しい。だからこそ、短い時間で何を伝えるかを考えている。

例えば、グラウンドの中でやったことを夜に持ち帰って「次の日こういうふうに活かした方がいいよね」っていうのも一つだと思いますし、全くラグビーに触れないで勉強のことを話すとか。また、ラグビーの楽しさやラグビーをプレーする意味を現役選手の目線で話すこともできる。

子どもに伝えたいこと、感じてほしいことを考え始めると、アイデアが止まらないようだ。

ゲスト選手参加で学びの幅を広げる

合宿では岸岡選手以外のゲスト選手が登壇することも魅力だ。グラウンド内はもちろん、座学にも登場する。

ゲスト選手としてリーグワンの選手や女子選手を呼び、質疑応答や伝えたいことを話してもらおうと思っている。

ゲスト選手がいることは、単に選手が増えるだけではなく、子どもたちへの学びに幅を広げることにも繋がっている。

もちろん僕が教えるのが上手いって言ってくださる方もいるし、逆に全く分からなかったよ、という人もいるかもしれない。その時に「ゲストの話はメチャクチャ分かる」であればいいと思う。
学校の先生でも全員に好かれる人はいなくて、一部反発もある。そういう時に別の先生を紹介することができる。
また、いろんな人がこの活動に参加することで活動できる人が増えていくのもいい。

「楽しかった思い出」がラグビーを続けることにつながる

岸岡選手は、合宿を通じて子供たちに持ち帰ってほしいものを「楽しかった思い出」と言い切った。

あれもこれも… と思い付くが1つに絞っていない。あえて言えば目的にある通り、「参加して楽しかった思い出」を持ち帰ってほしい。
何でもいいから楽しかった印象、思い出作りは子どもにとっていい経験と考える。コロナで合宿や試合がなかったりイベントに参加できない中で、こういうご時世でイベントに参加できることはいい機会を作れると考えている。
参加してよかった・楽しかった思い出は、それが「ラグビーをもう一回やりたい」「イベントに参加したい」から ゆくゆくは「上手くなりたい」「強いチーム入ってがむしゃらに頑張りたい」に続く。そのきっかけラグビーが面白い・楽しいにあると思う。それを持ち帰ってほしい。

子どもの頃の楽しい思い出は、子どもの未来に大きな影響を与えることをわかっている。だからこそ、ラグビーをする子供たちに「楽しい」を伝えていく。

岸岡自身が「楽しみで仕方がない」2年目の挑戦

最後にラグビー教室に向けた想いを聞いた。

とりあえず楽しみで仕方ないです。

と語った。

合宿を通じてグラウンド外でもいろんなことを伝えたいと思っている。その準備をしながら自分自身の気づきもあるし、準備で分からないことがあって新しい発見があったりと自分に返ってくる。

自分が動くことで発見する自分自身の進化だけではない。昨年のラグビー教室では、終了後に保護者から手紙をもらったり、また来年参加すると伝えてもらうことで、岸岡選手自身に返ってきている。

今、誰よりも岸岡選手自身が一番ラグビー教室を楽しみにしている。

今年の岸岡選手はどんなラグビー教室を見せてくれるのか。
始まる前から楽しみで仕方がない。

(追伸)保護者向けのことも考えてます

合宿では安全管理の観点から保護者同伴が必須だ。
せっかく参加する保護者にも何かを持って帰ってもらえるのでは、と考えている。

僕自身は子どもがいるわけではないけれど、「こういう育てられ方をしてきた」みたいなことに興味を持つ人もいて学びになるだろうし、「現役選手って挨拶ちゃんとしてる」とかお手本にならないといけないと思っている。活躍する人がどういう過ごし方をするのかを感じてほしい。

岸岡選手といえば、早稲田大学時代から明晰な頭脳からあふれる戦術の数々を思い出すラグビーファンも多いだろう。「頭脳プレー」は岸岡選手の特徴だ。とすると、さぞや子どもの頃から勉強ができる子どもだったのではないか。どうしたらこんな子どもが育つのか、興味がある大人は多いだろう。

子どもが講義を受けている間に保護者用もちゃんと準備してます。
と、SNS等保護者がつながるところで伝えていただければな、と(笑)。

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