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仕事道具

生まれて初めて使ったコンピュータがMacintosh Plusでした。国際部のアメリカ駐在員がCAの大学で購入して日本に運んできたものだと聞きました。

それ以来、何も考えずに、当たり前のように、ずーっとMacを使い続けています。初めてのマイMacはMacintosh LC。小娘にとっては非常に高価だったことを覚えています(月賦で買いましたもん)。

それまでは手書きの翻訳原稿をFAXで送る時代を経て、ワープロで入力してフロッピーディスクで郵送するという進化を遂げていたのですが、電子メールにコピペして送ることの便利さは格別でした。ちなみに、この頃はダイアルアップ接続で、通信費がけっこうかかりましたね。

そんなきっかけと経緯で気がつけばガチなAppleユーザーになっていました。長らく音楽業界にいたこともAppleユーザーたらしめた要因の一つです。音楽雑誌や書籍の編集部および関係者でWindowsを使っている人を見たことがなかったし……。

もちろん現在もメインがiMacで、サブがMacBook Air。デスクトップの方が格段に仕事しやすいので、この2台使いはここ15年以上定番化しています。今は今年後半にリリースされるAppleシリコン入のiMacをワクワク待っているところ。

音楽業界で文芸翻訳をメインでしていた頃、翻訳原稿はMicrosoft Word書類でした。実務翻訳のように翻訳支援ツール(厳密に言えば翻訳メモリ)を使うことは一切なく、その存在すら眼中になし。また、記事翻訳にしろ、インタビュー翻訳にしろ、出来上がりの日本語の文字数でギャラが決まっていたので、ワード単価という概念すらありませんでした。

実務翻訳に手を出してから一気に翻訳業界の現実を知り、翻訳支援ツールの存在も認識したのですが、オフラインで使うツールはほぼほぼWindows向けで、高価で、Appleユーザーの私は門前払い状態(苦笑)。それが海外の翻訳会社の仕事を多く受けるようになった一番の理由です。彼らはMacでもWindowsでも使用できるオンラインのツールをメインで使うし、なにかの説明動画を作るときもMacとWindows両方で説明してくれますから。

私の場合、ここ4年でMemsource → Smartling → Memsourceという順番で多用するツールが変化したので、一番使い慣れているのがMemsource。これはオンラインでもオフラインでも作業できて便利な上に使いやすい。なので翻訳会社がMemsourceを指定するとちょっと嬉しかったりします。使い慣れた道具が一番ですからね。

たぶん実務翻訳をする翻訳者はWindowsユーザーが多いのでしょう。実際にSDL Tradosを使っている人が非常に多いと聞いたことがあるので。まあ、対応OSをWindowsに限定している時点で私には永遠に縁のないツールと言えます。

そんな私も最初に買ったスマホはGalaxy。これは敢えてAndroidを使ってみようと天の邪鬼になってみただけ。でも周囲のAppleユーザーから「コンピュータはMacなのにスマホはAndroidってアホか?」と笑われました。さすがに2代目スマホはiPhoneしたら便利すぎて驚愕しました。

21世紀の翻訳者にとってコンピュータは不可欠な道具です。本気で仕事する気なら、中古品を買うのではなく、新品を買って気を引き締めることをお勧めします。私ですら今でもMacを買い換えるたびに身も心も引き締まるので、いい刺激になるはずです。

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