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Threadsの中年戒めフォルダ
火のついたオリーブの枝をくわえた鳩に導かれ、Threadという新大陸に上陸して3日ほど経った。大陸というほど大きくなるかはまだ不明だが、すでに数千万ユーザーに達しているあたりしばらくは発展すると思われる。
今のところ、積極的に発信している人とまったくそうでない人がはっきり分かれている感じで、ITに強い古参インターネットユーザーや、Instagramのインフルエンサーの投稿が私のタイムラインだと目立つ。
私自身は、ここをどう使うかまだ悩み中だ。そして臨月にならんとする妊婦の暇さを活かして、参考事例を集めるためここ3日ひたすらいろんなユーザーの発信を掘り返していた。
その中でまず私が意外に思ったのは、自分と同世代〜ひとまわり上あたりのインフルエンスを持った人々が、想像以上にここで「安全」を感じ、嬉しくなっているらしいということだった。
「Twitterでは無難なことしか書けなくなっていたがここでなら自由につぶやけそう」
「ここでなら当分炎上は起きないだろう」
「Twitterとはユーザー層が違うからほっとする」
こういう発言をあちこちで見た。しかもそれだけではなくて、「ここでなら」とばかりに、下ネタなどTwitterでは書かないタイプのことを書いている人も多数いた。
その様子を見ながら、そうか、みんな相当最近のTwitterで我慢していたんだな……と思った。
炎上リスクやクソリプ発生確率が高すぎてラフなことを書けない(書きたくない気持ちにさせられすぎる)だけで、みんな結構無理していたのだ。ありとあらゆるクソリプを想定して、ありとあらゆる防衛策をとってからでないと書き込めない精神状態になっていたのだ。そりゃまあ、フォロワーが数万人だの十数万人だのいたら箸を転がしてもクソリプがくるだろう。
ただ、そんな同情を抱きつつも、正直「このノリは見ていて厳しい」とも思った。
簡単に言えば、「身内との飲み会」ノリである。普段は管理職として言動に気をつけなければならない立場の人が、新人だった頃からの仲間との飲みだからと好きに振る舞っているところを見たような気持ちになる。しかもその管理職たちは、ほとんどが私と同世代〜少し上くらいなのだ。30代半ばとはそういう年齢なのだな、とこれもしみじみ痛感する。
「こんなこと会社で言ったら今はセクハラだパワハラだって怒られちゃうけどさあ」
そんな枕詞を、飲み会にあまり行かない方だった私でも何度も聞いた。もちろん私自身、「ここでしか言えない」ことはたくさん口にしてきたからまったく他人事ではない。
周りに仲間しかいないように見えると、人は安全を感じる。そして本当にそれを言いたいからというよりも、「安全を確かめるために」こそ普段我慢していることを言いたくなる傾向がある気がしている。そしてその延長には、「本来公の場で言ってはいけないこと」を言ってしまう瞬間があるかもしれない。
これって危ないことだ、と思うがどうだろうか。本当に少人数の個室での飲み会ならともかく、ThreadsはSNSだ。まだまったりした雰囲気なのは事実だが、目に入ってくる情報の質が違うだけで、それぞれのいる場所自体はTwitterと変わらないはずである。Metaにはがっちり個人情報だって握られている。インターネットに安全地帯などありはしないのだ。
もちろん、犯罪でも何でもない以上、個々の人々を批判する気はない。ただ、私はそういう発言を見かけるたびに怖くなった。他の人がどうこうではなく、自分こそがいつかこういうことをして、越えてはいけないラインを越えることがあるんじゃないかと不安になる。
なので実を言うと私はThreadsを使い始めてからずっと、世代の近い人たちによる「危うい」投稿を見るたびにスクショして自分への戒めとして保存しているのである。
![Dropboxのフォルダ「戒め用」](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110301611/picture_pc_81e45971c6251bd0e2e6da38dc5c4006.png?width=800)
こういうの、自分が神経質なのかなと思っていたが、インターネット強者の友達何人かに画像を見せたらもれなく「これは厳しい」と言っていたので、やはり気を緩めてはいけないと感じた。どれだけ「発言を我慢させられている」感覚が不快だろうと、開放感にまかせて「ここでなら大丈夫だ」「こっちが本来あるべき状態だ」と思ったりするべきではない。私のようなお調子者であれば尚更。
「これまではOKだった言い回しや他人との関わり方が急速にNGになっていく上に、周りの“監視”が厳しくなってきて戸惑う」というのはつい自分より相当年上の層で発生していることのように思いがちだが、実はもうそんなことはない。私たちはもはや「戸惑う」側にいる中年世代だ。もちろん理不尽に発言を封じ込められるケースもあるし、ただのいちゃもんとコンプライアンス上の線引きを混同するのもよくないが、「はっちゃけてやらかす」リスクはどんどん増大している。
そのことを忘れないようにしよう、というのが今回のThreads騒動で最初に感じたことだった。
しかしそれはそうとして、Threadsには炎上しにくくクソリプの発生しづらい大陸として進化してくれることを心から望む。私も発言には気をつけるけど、景観がすっきりした世界にはいたいので……。
読んでくださりありがとうございました。「これからも頑張れよ。そして何か書けよ」と思っていただけましたら嬉しいです。応援として頂いたサポートは、一円も無駄にせず使わせていただきます。