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コロナ:ニュースで見たもう一人のヒーロー

コロナ感染の混乱の中、自分のキャリアを犠牲にし人命を救う判断を起こしたヒーローがいます。それはアメリカ海軍のキャプテン・クローザーさんです。彼は4800人以上の乗組員がいる空母セオドア・ルーズベルトの艦長を任されていたキャプテンです。

数日前に乗組員の中にコロナの感染者が発症し、上司に空母をグアムに寄港させ、感染していない乗組員達が適切な社会的距離を保つことが出来るように要請したのですが、海軍や政府の上部からは乗組員を一人も下船させる事は出来ないと言われ、「空母の中は混み合っており、医療スタッフも限られている、このままでは何千人もの死者が出る。今戦争をしているわけではなく、公衆衛生上の緊急事態でこのまま多くの死者を出さないために、要請した私の訴えを政府は聞き入れてくれない」という内容の手紙を軍の外部にも送りました。

その手紙が出た頃、私はその船でとんでもない恐ろしい事が起こってしまうことをとても心配しました。ネイビーの空母は一つの部屋に小さなベッドが沢山、すし詰めで、直角なハシゴで上り下りしないといけないような所もあるコッテコテの3蜜の場、感染爆発につながる要素ばかりのような空間だからです。彼がこの事態を軍の外に知らせた後でやっと、政府はやっと動きました。しかし、昨日彼は解任されてしまいました。その理由は「不適切な判断をした」からなのだそう。

私はこのキャプテンがなぜ、外部に「私の要請を聞き入れてくれない」と言ったのかすっごくよくわかります。アメリカの軍にはチェイン・オブ・コマンドっていう直属の上司にのみ要求を起こし、その後直属がさらに上のチェインに伝えてトップまで行き、そのあとトップの決断が伝えられる独特のコミュニケーションのルールがあります。これに途方もない時間がかかるんです。そして直属や途中の上司がどう振る舞うのかにもかなり左右されます。私は以前医療の現場で、このチェインオブコマンドのために患者さんケアの安全性が脅かされた事件を知っていますので、この彼の気持ちが良くわかります。彼はきっとまず彼の直属上司に相談され、そしてその上、その上の上などの全ての上司に聞かれ、結局サポートされなかったのだと思います。一刻一刻と感染が広がるリスクは増え続けています。彼はネイビーでの長年のキャリアがあったからこそ、ネイビーの序列制度を知り尽くしており上が一旦決めたことを覆しはしない事も知っておられたのです。なので「自分はネイビーをやめさせられてもいい。外に助けを求めるしかない!」と腹をくくって判断し、人命救助につながるような行動に出たのだと思います。素晴らしい判断だと思いました。そして同時に、もしも彼が外部にレターを送らなければ、大惨事が空母で起こった後で、彼の要請を最初却下した上司達や総責任者達がこのキャプテンの責任にしてしまうような事もあり得るのではないかと思いました。ネイビーはキャプテンになるまで長年のハードワークが必要なだけに、そのキャリアを棒に振って人命のために行動した彼の判断と勇気に拍手!!本当に素晴らしいなと思いました!! 彼は乗組員達の命を救うために、自分のキャリアを犠牲にしたヒーローです!

解任されて船を降りさせられる時、乗組員達がみんなで熱烈な「キャプテン・クローザー」コールをしている様子が報道されています。こちらでご覧ください。パンデミックの真っ只中では「政府や職場が自分を守ってくれる」という期待をしていると出遅れてしまうかもしれないと思いました。自分を信じて正しいと思ったことを手遅れになる前にやる事が大切なのだ、そしてその決断は「脳」よりも「腹」と「ハート」から湧き出てくるんだと思いました。キャプテン・グローザー、素晴らしいお手本を見せてくだりありがとうございました!!感謝!!


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