Google Map対ナビ

Googleが地図を変えるそうだ。巷の掲示板では、Googleと専用カーナビのどちらが良いルートを出してくれるか(ほとんどが実体験に基づいて)議論しているようなので、専門的に解説しよう。

カーナビは大きな道路を使うようにできている。出発地や到着地周りだと生活道路を通ることもあるが、一度離れると出来るだけ大きな通りを選ぶ。そのため一部の人たちは、カーナビは遠回りだという苦情を言っているようだが、これは仕様なのだ。

理由としては(日本国内では)法律でカーナビが生活道路を抜け道として使うことを禁止しているからだ。また、日本のカーナビメーカーには、Googleのように生活道路まで入れた大規模ネットワークの最短路を瞬時に計算する能力を持たない。特許を見ればわかるが、ほとんどが大通りや高速を使うことを前提とした近似高速最短路アルゴリズムを用いている。

一方、Googleは検索と同様の前処理を行い、高速に「最適な」最短路を計算する方法を用いている。我々も前処理を用いたアルゴリズムの特許を持っているが、日本のメーカーでは使用されていない。

Google Mapだと狭い道に案内されるので使いにくいという意見も出ているようだが、狭い道を嫌うような推奨オプションを付けることは可能だ。最短路とは枝に定義された重みの合計を最小にするパスのことなので、そうなるように重みを変形すれば良い。右折ペナルティや時刻依存の移動時間にも拡張できる。

無料というだけでなく、今後中身での競争が進めば、カーナビの生き残る道はないように思える。



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