語り手としてコンテクストを問う(クエリーからはじめよう)
mikiokousaka
「一言で説明(One-Line description)」するとき、その背景にはコンテクストを踏まえた「ナラティブ」が出来上がっているのが常です。
自身が語り手となる物語「ナラティブ」は、誰かに語られる完結した物語「ストーリー」とは性格が違います。
自分にとって大切だと考える項目を選択し、優先順位をつけて語るので、無意識の偏見や省略で構成された、ドミナント・ストーリー(優性物語dominant story))を、意図しなくても生み出します。
「一言で説明(One-Line description)」したことが、相手の共感を得られていない時には、コンテクストの中で意識的にあるいは無意識的に除外してしまった事柄が何かを客観的に把握し、聞き手が求めている感心事項で再構成することが必要です。
無意識的に除外してしまった事柄を、自問自答で把握するのは難易度が高いですが、客観視の手段として、個々のコンテクストに関与する人を匿名ではなく具体的な名前に置換して把握しなおす方法があります。
粒度を上げるというより、彩度を上げると言える手法です。
ペルソナ設定やN1分析とは異なり、単一化はせずに各々の登場人物の関係性を鮮明にすることで、自分との距離感の再認識で自分自身の立ち位置を見直すことが、自己の客観視につながります。
大前提として、誰かの完結した物語(ストーリー)ではないので、語り手である自分自身が語るべき物語(ナラティブ)として、聞き手に向けて語られることを意識して選び取り、オルタナティヴ・ストーリー(代替物語alternative story)を構築して、「一言で説明(One-Line description)」することが、常に必要です。
Mikio Kousaka