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デザイン系職種の4分類

デザインスクールにはデザイナを採用したい世界中の企業からデザインに関する求人情報が流れてきます。これらの情報は眺めているだけでも世界のデザインに関する潮流がわかって面白いのですが、ふと思い立って、ちょっと整理してみる事にしました。

そもそもデザイナとは言うものの、デザインという言葉が指す領域は昨今とても広くなっています。そういった状況においてデザイナとしての仕事/職種にはどのようなものがあるのでしょうか?

多くの求人票をヒューリスティックに読み込んでみたところ、デザイン系職種は大まかに分けると下記の4つに大分できるのではないかと思っています。

- ビジュアルデザイナ
- デザインリサーチャ
- UXデザイナ
- サービスデザイナ

以下、それぞれについて説明していきます。

ビジュアルデザイナ

まずは多くの人が「デザイン」という言葉から思い浮かべる職種がビジュアルデザイナーです。

ビジュアルデザイナは タイポグラフィ、レイアウト、色、グリッドなど専門知識を駆使して、ユーザとの円滑なコミュニケーションを実現するビジュアルを作成するお仕事です。

作成物は、ポスター、チラシ、説明書などの紙ものや、Webやアプリのデザイン、動画、立体物まで多岐に渡ります。万遍なくこなせる人も居れば、どれかに特化した人も居ます。

グラフィックデザイナ、UIデザイナ、コミュニケーションデザイナ、プロダクトデザイナなどと呼ばれる事もありますが、Adobe Creative Suitesのエキスパートであることと1ピクセルにこだわる姿勢は共通していると考えています。

個人的な印象ですが、美大出身者が多い気がします。

UXデザイナ

次に取り上げるのはUXデザイナ。最近よく名前を見かける気がします。

提案された製品コンセプトに関するマーケットとユーザに対するリサーチをもとに仮説構築、プロトタイピング、テストをイテレーティブに行い、製品やサービスとユーザに関する美しい体験を作りあげます。

彼らは仕事の中で、ペルソナ、ユーザーシナリオ、ワイヤーフレーム、UIモックアップ、ペーパープロトタイプ、デジタルプロトタイプ、ムービープロトタイプなどを作り出す事があります。

注意しなければならないのはこれらはあくまで中間成果物であり、最終的なユーザ体験にどれだけ貢献できるかが重要です。ユーザーにストーリーを伝え、ステークホルダーを説得することができるデザインコミュニケーションスキルが求められます。

UXデザイナのバックグラウンドとしては、インタラクションデザイン、ヒューマンコンピュータインタラクション、メディアデザインなどの大学出身者が多い気がします。

デザインリサーチャ

3つ目は、デザインリサーチャです。日本だとまだまだ馴染みがない職種かなと思いますが海外では求人票をよく見かけます。

デザインリサーチャのミッションはイノベーション創出のために質的および量的なリサーチを通してユーザーニーズの発見、分析、およびその共有です。

チームが取り組むプロジェクトに対して適切なリサーチゴールと計画を策定し、それに必要な資料、ツールなどを準備して実行し、リサーチで得られた知見を適切な方法でステークホルダーに提示するストーリーテリングのスキルが求められます。

具体的なリサーチの方法としては例えばエスノグラフィ、フォーカスグループ、トライアンギュレーション、非/半/構造化インタビュー、シャドーイング、コクリエーション、ユーザーワークショップ、ゲリラリサーチ、カードソーティング、各種マッピング、ウォークスルー、談話分析、観察などかなと思います。個人的にはRやSPSS等プログラミング言語を使用したデータ分析が出来ると大きなアドバンテージかなと思います。

デザインリサーチを専門的に教える大学はあまり聞いたことが無いのですが、スキルセット的には社会科学や文化人類学、人文科学、アート、建築の大学院出身者が多いと思われます。学部ではあまり機会が無いかと思いますが大学院になると各々の分野でリサーチプロジェクトの計画から実行が求められるためです。

サービスデザイナ

最後にあげるのはサービスデザイナです。最近は日本でもサービスデザインに関する本が多く発売されていますし以前に比べ名前を聞くようになりました。最近だと、Kolding Design Schoolに留学中の平野さんが11のサービスデザインの定義まとめメモというnoteを書いて公開されていましたね。とはいえ私なりにサービスデザイナの役割を要約するとこんな感じかと思います。

サービスデザイナはデザイン思考と各種デザインツールを使用し人々が何を望んでいるのかを理解し、アイデアやプロトタイプをテストし、技術、ユーザニーズ、ビジネスなど様々な方向から実現可能性を検討します。と書くとめちゃくちゃ幅広いですが、実際にはデザインリサーチャやUXデザイナー、ビジュアルデザイナと強力してプロジェクトを進め全体を見るPM的な役割になることもあるのでしょうか。

ユーザのニーズや行動、市場の状況、利用可能なリソースなど様々な要素に基づき製品サービスコンセプトを策定し、それを実現するビジネスモデル作成およびその実現のための計画作成と実行するバランス感覚が必要でしょう。

募集要項にはバックグラウンドとしてMBA、MFA、デザインスクール出身者が書かれている事が多い印象を受けますが、必ずしも必須では無いと感じていますが、ある程度のビジネス経験が無いと厳しいのではないかと思います。

なお余談ですがストラテジックデザイナ、ビジネスデザイナという職種はサービスデザイナと比較的距離が近いのではないかと考えています。

おわりに

以上、各職種についてまとめてみましたが、これらは私が偏見と主観で「まぁたぶんこんな感じだろう」と分類し、説明を加えたものなので「これはおかしい」と感じる人もいるかも知れません。むしろそういう人が居ることが健全だと思いますし、実際、上述したカテゴリを超えて活躍してらっしゃるデザイナさんも多く居ますので、こういうカテゴライズ方法もあるんだなぐらいのノリで読んでいただけると幸いです。最後になりますが、議論はいつでも大歓迎です。

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