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今の世論と文化財返還問題がなんとなくリンクした話。【 #DMM英会話日記 】

BLACK LIVES MATTERのデモが盛り上がるつれ、アメリカでコロンブス像が倒されたり、イギリスで奴隷貿易を手掛けた資本家の銅像が海に投げ込まれたりと、こと欧米では過去の歴史を大いに反省する流れが加速しているようだ。

この流れを受けてか、今日のイギリス人の先生は、帝国主義時代の自国について複雑な思いを語っていた。
「イギリスのミュージアムは、かつての植民地だった国々の美術品や、モアイ像、日本の鎧や刀などをたくさん所蔵しているけれど、それはやっぱり元の国に返すべきだと思う?」
「うーん……ものによるかな。個人的には盗んだものは返すべきだけど、貿易などで輸入したものは特に返す必要ないんじゃないかとも思う」

特に明治維新のあと、日本人が障子の張り紙にしていた浮世絵などは、欧米の目利きが救い出してくれなければ、日本にどれだけ残っていたかわからない。廃仏毀釈で捨てられた仏像なんかもかなり助けられただろう。
保存という意味では、欧米の美術館にも一定の役割はあったのではないだろうか。
「確かにその議論はある。たとえばモアイ像などは、イースター島に残っているものは風雨にさらされて崩壊しつつあるけれども、大英博物館は万全の体制でケアをしているから保存状態がいい。それでも返すべきかというのは、controversial(論争の的)な問題ではある。
また、たとえば日本の鎧や刀を展示することは、その歴史や文化を欧米で広めるという教育的な役割がある、と主張する人もいる。
でも僕は個人的には、もし元の持ち主である国が返してほしいと望んだら、返すべきだと思う
I think that if a country requests to have an artefacts returned to the native country then the museum should allow that return.

最近読んだ村上春樹の『猫を棄てる』というエッセイで印象的だったのは、彼の父親が猫を棄てるくだりで、村上春樹が「その世代の人にとっては、猫を棄てるのは当たり前のことだったのだ」とさらりと流していたことだった。

今の感覚だと猫を棄てるなんて言語道断だし、胸が痛むけれども、今の価値観で過去を断罪することなんてできないのかもな、とその時は思った。

もちろん現代人から見れば、帝国主義時代の欧米(日本もだ)がしたことの多くはろくでもないことばかりだろう。ただ、今になってそのろくでもない人たちを引きずり下ろし葬り去り出したら、歴史の教科書に誰が載るのだろうか、と思わないでもない。


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