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教習指導員ってこんな仕事

この記事では教習指導員という仕事の良い所と、しんどい所を紹介していきたいと思います。

教習指導員という仕事を知っていますか?

多くの方が運転免許を取得するときに通う自動車教習所。
教習指導員という仕事の存在は多くの方が知っていると思いますが、就職活動や転職活動をする方の選択対象として候補に挙がることは少ないのではないかと思います。
職種としてジャンル分けしにくいこともあり、ハローワークや転職サイトで検索してもヒットしづらいという側面があります。

私は前職は小学校の教員をしていました。そこから教習指導員に転職する際には、「助手席に乗って運転を教える仕事」というイメージしかありませんでした。
希望はありつつ、同じくらいの不安を抱えながら当時の教習所に入社したことを覚えています。

そして教習指導員として8年仕事をした現在の感想としては、

転職してよかった!!

これから就職活動をする学生さんや、転職しようとする社会人の方の選択肢になればいいなという思いを込めて、教習指導員の仕事について語りたいと思います。

良いところ5選

①誰でもなれる。

教習指導員の資格は、試験にさえ合格すれば誰でも取得することができます。
職歴や学歴に制限はなく、学校に通う必要もありません。転職に向いていると思います。

教習指導員資格は、車種によってそれぞれ別の資格となります。

普通自動車の教習指導員になるための受験資格は、21歳以上であることと普通自動車(MT)と普通自動二輪(小型ATも可)の運転免許を取得していることです。
資格審査が毎年2月と6月と10月の年3回行われ、運転や補完、正誤式、論文、面接などの6科目の審査に合格する必要があります。
とにかくテキストを暗記する必要があり、覚えるのは大変な作業ですが、国家資格としては取得しやすい資格ではないかと思います。



②出会いが無限。

教習指導員の仕事の大半は、教習生が運転する自動車の助手席に乗って、運転技能のマンツーマン指導をすることです。
毎日少なくとも5名以上の大人と、50分間マンツーマンでコミュニケーションをとる機会があるわけです。
その間本当に運転の指導だけを行う場合もありますが、緊張をほぐすために雑談をしたり、何気ない会話をしたりすることも多々あります。
そこから卒業後も友人関係になったり、男女であれば恋愛関係に発展したり、経営者の人と出会ってその人の会社に転職したりする指導員もいます。
本筋である教習の仕事をおろそかにしてはいけませんが、仕事の副産物として人脈を広げるチャンスが眠っています。



③敷地の中で、車やバイクに乗れる。

自動車教習所の敷地の中には、自動車が走行するためのコースがあります。
S字やクランクという狭い道路や、坂道発進などの練習を、公道に出ることなく練習することができます。
公道であれば交通法規に従って運転しなければなりませんし、他車や障害物などに接触すれば損害賠償などの社会的責任を負うことになります。
しかし敷地の中であれば、経営者が許す範囲の中で自由に運転することができますし、公道ではあまり良しとされないような危険な運転を体験として行うこともできます。

例えばバックで交差点の右左折をしてみたり、急ブレーキをかける体験、オーバースピードでカーブを走行する体験などがそれです。

またバイクにおいては、スラロームや一本橋、デコボコ道やUターンなどの試験課題があり、公道ではあまり体験できないようなアグレッシブな練習を行います。

それは当然、教習生のための練習コースではありますが、教習指導員も技能向上のために練習することが許されている教習所がほとんどです。
安全運転競技大会など、教習指導員の運転技能を競う機会もあります。
自動車の運転が好きな人にとっては、たまらない環境だと思います。



④年齢に比べて若さを保てる。

先にも記しましたが、教習指導員の仕事のほとんどは、運転技能のマンツーマン指導です。そして教習生の大半が大学生です。
従って、嫌でも毎日大学生を中心に若い年齢層の人とコミュニケーションをとることになります。
そのため常に新しい情報を取り入れて教習生と話が合うように努力する必要がありますし、服装や髪型などの身なりに注意する必要があります。

他の仕事においては、取引先の同じような立ち場の人や同年代の人、自分より年上の上司などとの関りが多くなっていくのが普通ではないでしょうか。教習指導員の場合は定年退職するまで毎日大学生とコミュニケーションをとることになります。
実際に、私の職場の年配の指導員を見ると、ものすごく若々しい人が多いです。
若くいるために努力せざるを得ない環境に身を置くことで、身も心もいつまでも若々しく保てるようです。



⑤大勢の人前で話す習慣がつく。

教習の種類は2種類あります。技能教習と学科教習です。
技能教習は、先に記した運転技能のマンツーマン指導をする教習です。実際に自動車の運転をします。

そして学科教習は講義形式で、道路交通法に関する座学を行う教習です。大学の授業のように広い教室に複数名の教習生が集まり、一人の教習指導員が講義を行います。
教習所によっては一回の学科教習に、100名を超える教習生が集まる場合もあります。

学校の先生や講演家の方には及びませんが、大勢の大人を相手に毎日講義を行うことは、教習指導員ならでは習慣ではないでしょうか。
結婚式の司会や、人前でスピーチをする時などに、過度に緊張することなくこなせるようになります。

しんどいところ5選

①運転技術よりも記憶力が必要。

まず先にも記しましたが、教習指導員になるための試験の内容は、交通法令に関する知識が多いので、勉強はとにかく暗記がメインです。

そして教習指導員になってからも、教習生に交通法令について教えていくわけですから、質問をされたときにパッとこたえられるように基本的な法令については記憶しておかなければなりません。

また、技能教習で走行するコースの道順等について、教習所ごとにルールが決まっています。「○回目の教習の時はこのコースを走りましょう。」という取り決めがある場合がほとんどです。試験コースも決まっています。基本的にはその全てを記憶していないと、地図を見ながらの教習になるので場合によっては危険を伴います。

その他にも、数か月前に担当した教習生を久しぶりに担当するときに、前回どのくらいの技量だったか、どんな会話をしたか等をある程度覚えている必要があります。

運転技術よりも記憶力がものすごく必要な仕事です。



②ある程度のコミュ力が必要。

重ねて記しますが、教習指導員の仕事で1番多いのは、運転技能のマンツーマン指導です。教習の1コマ50分の間は、初対面の他人と嫌でも会話をしなければなりません
これは人によりますが、極度の人見知りの人や、コミュニケーションをとることが嫌いな人にとっては、とても辛い仕事だと思います。



③楽しいけど、楽な仕事ではない。

まず拘束時間は長い仕事だと思います。1日8~10時間勤務で、週休は平均的に2日ぐらいの会社が多いと思います。
ただし、繁忙期である1月~3月、7月~9月の期間は週休1日になる場合が多く、有給休暇も取りづらい雰囲気となります。あからさまに有給休暇の時期をずらすように指示される場合もあり、トラブルとなることもあります。
また、免許を持っていない教習生の助手席で勤務時間の大半を過ごすので、精神的に疲れます。一息いれるためにコーヒーを飲んだりタバコを吸ったり、仮眠をとったりすることがしづらいです。
5分〜10分の業間の休み時間や、昼休みの1時間が、心身を休める時間となります。
楽をしたい人にはお勧めしません。多少ブラックだと感じても、好きな仕事をしたい人には向いている仕事だと思います。



④友達の助手席に乗ることが苦手になる。

毎日教習生の運転する車の助手席に乗ってマンツーマン指導をすることによって、友人や家族の運転する車の助手席に乗ることが怖くなります。
教習車の助手席には補助ブレーキが搭載されていて、危ないと感じたら助手席からブレーキを踏んで車を止めることができます。これに慣れているので、補助ブレーキのついていない車の助手席に乗るだけで違和感を感じるようになります。
そして一概には言えませんが、教習生に比べて友人や家族の運転は荒いことが多く、さらにそれに対してその都度注意することもできないので、ドキドキしながら何も言えずに乗っている状態になります。
自然と後部座席に乗るようになるでしょう。



⑤交通違反や交通事故は死活問題になる。

まず、運転免許が必要な仕事なので、運転免許の停止や、取り消し処分を受けた場合は仕事ができなくなります。
そして、安全運転教育をする仕事の性質上、道義的な意味で違反行為や交通事故に対しては神経質にならなけらばなりません。
教習所によって、ペナルティを設けている場合が多いです。始末書を提出しなけらばならない場合や、減給になる場合、違反点数に応じて謹慎しなければならない場合などがあります。



教習指導員は「運転好き」のための仕事

教習指導員は、運転好きがなる仕事です。
車好きではなく、「運転好き」です。

自分の車の車種や、そのエンジンとか足回りのチューニングのこだわりの話をしたい人は、車好きです。
峠やサーキットの攻め方、ドリフトの話をしたい人は、運転好きです。

速い車に乗りたい人は車好きです。
遅い車を早く走らせたい人は運転好きです。

頭文字Dで言うと、中里毅は車好きです。
藤原拓海は運転好きです。笑

教習指導員は、極めて「運転好き」に向いている仕事だと思います。

MT車の操作方法やギアチェンジのタイミング、そのメカニズムについて、真面目に他人と話せたり、教えたりできる仕事は他にはありません。

自分は車好きだと思っているあなた、本当にそうですか?
運転好きではありませんか?
もし運転好きならば、ぜひ教習指導員を目指してみてください。とてもやりがいのある仕事です。

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