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プロダクトデザインの思考(一部)をもってダイエットをする

体重を減らすのには食事制限が一番ですが、その状態を長期間維持するのはとても大変です。

この記事では2023年9月から2024年6月で10kg痩せた私が、プロダクトデザイナー、かつユーザーとして自身の変容をどう設計したかについてまとめていきます。

プロダクトデザイナーのダイエット設計

たくさんのソリューションを適切に活用するのには、自分の特性をしっかり理解することが必要です。

「毎日鶏肉と野菜とお米のみで食事をし、ジムに通ってたくさん運動をする」という解決策があったとして長期間実施できるでしょうか。

もし、これが実施できない場合に自分の特性にあったカスタマイズを行なう必要があります。

重要ポイント:ダイエットを自分に合わせてカスタマイズする


ジムに通うことが難しければ自宅や仕事中にでも出来る方法に。好ましい食材を食べることが難しければ他の材料や加工品を選ぶなどです。食事と運動について言及していますが、モチベーションが上がるのであれば、他のものもカスタマイズしていきましょう。

私の場合は、食事に難しさはなかったので、モチベーション発火や運動をこのようにカスタマイズしました。

カスタマイズ1 : スマホでXを見る→Tiktok見る

プロダクトデザイナーはユーザーの意欲を高めることはできません。それが出来てしまう世界は少し恐しい気がします。意欲を高めて実行に移すというのはユーザーが自分だけで行なえなければなりません。

わたしのカスタマイズ最初の一歩は、閲覧するSNSを変更するだけという、あまりにも小さなものでしたが、意欲を高めるのには多いに役立ちました。

「10月に新入社員として会社に出社するので、身綺麗にしておきたい。」というのはそれなりに強い動機ではありますが、それ単体ではダイエットは成功しなかったでしょう。長く続く設計が欠けているからです。

ちょうど友人から教わったTiktokにはエクササイズやメイク、料理などのコンテンツがたくさん投稿されています。

しかも、簡単に見られて、日常的にアクセスしたくなる中毒性がある。私がダイエットを始めるきっかけと言えるものでした。

デザイナーズヒュッゲでTiktokを教えてくれたぽんすなさん、ありがとう!

カスタマイズ2 : PCゲームをする→Oculusでダンスゲームする

スマホで見つけたエクササイズなどを実践するようになってくると隙間時間の運動に慣れてきました。ここが大きな転換期です。運動に慣れて、結果も付いてきて1ヶ月継続して楽しめるようになってきました。

最高何度の楽曲、初見でもクリアできるしなんならPerfectいけます。

数ヶ月前に購入しただけで活用していなかったOculus(ヘッドマウントディスプレイ)を思い出し、ダンスゲームを購入しプレイしはじめます。もともと音ゲー、ダンスゲーが好きでしたので、私の「ゲームを楽しむ時間」はそのままに、プレイ内容だけが変わります。

これまでは深夜までシミュレーションゲームをしていた時間が、ダンスゲームで1時間になりました。ゲームの楽しさ自体は変わらないのでこれも継続に役立っています。

カスタマイズ3 : ジムへ行く → YouTubeの筋トレ動画をする

一番の問題は家から出たくないことでした。この問題はダイエットだけでなく、仕事や子どもの学校関連でも多くの問題を抱えています。「移動」というのは私にとって心理的ハードルが非常に高いのです。

すっぱりとジムに行くのは諦め、自宅で出来るオンライントレーニングを契約したりはしていましたが、Youtubeの筋トレ動画を繰り返し実践するのが一番フィットしました。

事前予約不要で、自分の気が向いた深夜にでも待つことなく実行できるからです。

うっすらと知ってはいましたが、私は、気まぐれで、気分屋な引きこもりなので「予定を正しく消化する」ことが難しく「気分がのったときに思いつきで実施する」ことが人よりも得意だったのです。

これをしっかり認識し、「操作可能」状態(メリットを最大化し、デメリットを最小化する)を作ると考えるとYoutubeが一番適していたのは自明です。

むしろ行動設計者として、それに気付くのが遅すぎた気もします。

なかでも3分〜5分の短時間、解説などは少なく鏡を見るように再生するだけのものが自分とは相性が良いです。「のがチャンネル」めちゃくちゃお世話になってます。腹筋、尻、背中、首ストレッチでだいたい30min。

カスタマイズ4 : 食べる量を減らす → 食べる機会を減らす

食事内容を制限するのも大変でした。わたしの作る御飯はとても美味しいのでおかわりを我慢できません。しかし食べる回数を減らすことはできました。16時間断食ですね。

無くてもまったく問題ないが、初期は「やった感」増すので習慣化するまではオススメ

もともと学生時代から朝ごはんは食べていない。お昼ごはんも忙しいと食べない性質だったので、苦もなく断食しやすかったです。その分夕飯は好きに食べていいというのはとても私にあってました。

数値を計測したこと、それによって食事制限が熟達したことはダイエットの成果に大きく貢献しました。計測した数字によって自分で判断をし、「今日は夜飲み会だからお昼はこんだけ」「ここ数日暴食したし、今は我慢も嫌じゃないから1食お休みする」と自浄作用が働きはじめたのです。なんて自律的チーム(ひとりなのでチームではない)…!

次は特性によらず、自律的なチームへと成長させるのに必要なチームビルディングの考え方を活用してみます。

「早く結果が出る」ように目標を分割

いくら頑張っても1ヶ月、いや、1週間続けても変化がなければ継続は困難です。良い変化が得られないチームはいずれモチベーションが枯渇し、言われたことしかやらないチームに変化します。

もしアナタが体験設計者であるのならば1日や1週間で成功を感じられるサイズに目標や行動を設計しましょう。

ダイエットの成功は「体重が減ること」であり、それは1日では実現できません。ですので、長期的なゴールとそれに寄与する短期的なゴールを段階的に設計します。

※500kcalというのは適当です。Oura ringが決めてくれました。大好きなプロダクト。
  1. 10kg痩せるというゴールのためには月1kg前後の減量を設計する

  2. 月1kg減量のために、運動での消費カロリーで500kcal@dayを目標とする

  3. 500kcal消費が妥当であると測定するために

    • 体重計に乗って自身の基礎代謝を知る

    • Oura ringでカロリー計測の自動化を行なう

    • あすけんで日々の摂取カロリーを計測する

このように分割し、月1kg痩せる中期ゴール、1日500kcal消費する短期ゴールを定義します。

3のステップまで線を引くことが重要です。そこまでゴールの設計ができたら、あとは1日あたりのゴールが自動で達成できるように、さらにミクロな体験設計を行いましょう。

オーラリングなどのカロリー計測自動化を行なう

消費カロリーの計測などは「道具」を買い、装備するだけで達成できる激ウマゴールです。スマホのホーム画面等に消費具合を表示しておき「どうせなら階段登るか。」「お風呂入れば100kcal消費できるから、今日は達成できそう」など無意識行動の中に埋め込んでいきましょう。

体重計に乗るなどして自身の基礎代謝を知る

これについては私はスマート体重計(3000円)を使っていますが、スマートバスマット(15000円)に変更を検討しています。安くはない買い物なので躊躇していましたが、今だに朝のトイレの後に毎日体重を測るのを忘れてしまい、体重計測がバラつくのを防げるとしたら十分に価値があります。

個人的な買い物ポイント
短期ゴールをひとつもクリアしていない状態で高価な買い物はあまり高価がありません。最初は自分が損だと思わない金額で購入できるもので数ヶ月試しライフスタイル上に埋め込みができると分かってから高価なものに切り替えていくのが良いです。

なぜなら高価なものは捨てるのが大変だから。ライフスタイルや特性に合わないものと分かったあと処分に手間がかかると次にチャレンジする障壁も高くなってしまいます。

私の旦那さんは初手で5,6万のオットマンや、ヘッドレスト、10万のイスや、それ以上に高価なフィットネスバイクを購入しましたが継続に至らず、値段もサイズも大きいために捨てるのも手間ですし、売るのも一苦労です。次からは一緒にお買い物しようね!

ぼやき


私の場合は「3分プランクができるようになる」なども効果的でした。筋トレは毎日やることで回数が増えたり出来ることが目に見えるので楽しいですね。

あすけんなどで日々の摂取カロリーを形相する

ログを取るのが好きな私はあすけんも活用できました。しかし、それらの習慣が苦手な場合は、消費カロリーを目安で計測したり、1回の食事のカロリー量を決めておくなどでも良いでしょう。

ここまで設計してやっと道具の出番

  1. 内発的動機を高める

  2. 自分の特性を鑑みて痩せる習慣を設計する

  3. 動機を維持するための目標、チェックポイント設計をする

  4. それらを簡単にするための道具を使う ← ここでプロダクトの出番!

このようにダイエットを助けるソリューションを活用できるようになるには、3つもの大きなステップと、専門性のある知識が必要です。高い意欲によって実現されている方も多くいますが、「簡単に」「誰でも」とは言い難くもあります。

プロダクトデザイン目線:道具だけではユーザーは目標を達成できない

ダイエットを助けるアプリケーションはたくさんありますが、それだけでは成功できないことを私たちは良く知っています。

本と同様に私たちが提供しているサービスは、活用されるまでただ待つことしかできないからです。

訴求によっていくらユーザーの視界に入ろうとも、インストールされ、それが半年毎日触れられる状況になるかどうかは「ユーザーの状態」頼みであり、それを私たちプロダクトを提供する側がどうにかすることができません。

多くの社会的問題の解消も同様です。

「ユーザーが自発的に自分の課題に向き合う」ための体験があらゆるフェーズで必要です。プロダクトを提供する以外に、ひとりひとりを整えることに注力する方法やアプローチも視野に入れることが必要だなと強く感じます。

ユーザー目線:道具を活用するための内発的動機づけはユーザー自身で行なうしかない。

内発的動機、金銭や社会的報酬に左右されず自己の内側から湧きでる「これをやりたい」という関心や意欲のことです。

自律・熟達・目的、これらが揃うことで人は意欲的に自ら行動を起こします。体験設計者として道具内の体験設計のみに終始せず、その前後に携わるということは、強く人と関わることです。

それだけに道具内を設計しているころより、摩耗し、価値を提供できる人も少なくなります。年収だって下がってしまうかもしれない。

これはぼやきですが、「人に近い体験設計」を多くの人が行えたり、行なうことで経済的にも社会的にも良い効果になり得るものを探していきたいですね。

まとめ : 「ラクに痩せる」は「行動変更が少なく痩せる」ということ

「ラクに痩せる」ソリューションはたくさんありますが、ラクというのは「行動変容が少ないこと」と捉えています。意図して行動を変容するのはとても難しいことです。

しかし、「金曜日の夜に少し食べすぎる」「運動が減ったのに食べる量はそのまま」など、習慣で太ってしまったものは習慣を変えるしかありません。あなたの太ってしまう習慣はどのようなものでしょうか。

食べる以上の楽しみを見つけることは地味に大切です。お店に寄り道をせずとも他楽しめるものを見つけましょう。

久しぶりにコンビニへ行くと、買い物体験自体が摂取カロリーを増やす行動と密接に関わっていることに気付きました。おにぎり一つだけ買うのってなんだか勿体無いですよね…?

せっかくだから飲み物と、あとオヤツも買った方が買い物としても楽しくなります。しかし、今日はすでに1000kcal摂取しているとして、そのオヤツ…いつ食べます…?

例えば箱など容量のあるものだとカロリーを置き換えてみましょう。

そう考えると「この食事で800kcal使いたくない…!」という気持ちが芽生え、漫然と食べるのではなく、制限のある食事を満足行くものにする考えに至りやすくなります。

「1日 1440kcal入る箱」にアナタなら何を入れますか?

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