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お店に気軽に入れない心のバリア

「喫茶店の倒産が年最多に迫るペース、消費増税後はテイクアウトと競合も」という、Yahoo!のニュースにコメントを書いたのですが、分量が多く全てを掲載できなかったので、noteに全文を書いておきます。


20年以上カフェ巡礼をしています。街の昔からの喫茶店にも出かけていっては珈琲を飲んでいます。けれども、喫茶店やカフェで、この珈琲は美味しい、と思ったことはほとんどありません。なぜなら、自分で100gあたり700円程度の豆で淹れた方が、断然美味しいから。喫茶店では、植物油のフレッシュがついてくるのがほとんどで、良くてスジャータの乳脂肪高めのポーションです。私はブラックでは飲まず、低温殺菌牛乳か生クリームを入れて飲むのが好きなので、喫茶店(コーヒー豆焙煎店も含む)は、その点、私のニーズを満たしていません。ただ、これについては個人の好み、嗜好の部分です。けれども、喫茶店にとっては珈琲の質は商品力になりますが、珈琲が美味しいからお客が入るわけではありません。
それよりは、

「駐車場が駐めにくい」
「今、営業しているのかどうか分からない」
「入っても問題ないところなのか分からない」

というのが、街の喫茶店全体に向けられた課題です。
地方都市なら、駐車場が駐めにくかったり、行ってみたら駐車場が満杯で駐められなかったりすることがあると、混んでそうなら、やめとこうか、になりやすいです。
チェーン店なら、営業時間中は確実に開いていますが、街の喫茶店は、行ってみたら臨時休業だった、ということがままあります。そうすると、待ち合わせには安心して利用できませんよね。
そのお店に入っても問題ないか、というのは、価格が外から分からなかったり、雰囲気が安心できるかどうか分からない、というのがあります。女性客向けの雰囲気だったら男性は入りにくいし、その逆もそうです。極端な例では、ゲーム機が置かれてごにょごにょしていたり、高校野球のTV中継の前でごにょごにょしていたところもありました。価格が許容範囲かどうか、落ち着いて過ごせるかどうか、入ってみないと分からないというのは不安なわけです。誰だって、初めて入る知らないところは勝手も分からないし不安ですよね。

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これらのことを、私は、お店に入るのを躊躇させる「心のバリア」と名付けました。チェーン店は、こうした心のバリアが無いですよね。街の小さなお店は、お客が入ってから勝負では無く、入る前からチェーン店に半分勝負に負けているのです。つまり、珈琲や食べ物が美味しいかどうか、という以前の問題なわけです。

駐車場や、場所が分かりにくい遠いなどの、不便なところは変えようがありません。けれども、営業しているかどうか、雰囲気が安心できるか、といった不安の解消は、今はネットでの情報発信で容易に解消できます。これを行うなら心のバリアの半分は無くなります。

ただ、これだけでは充分ではありません。長く商いを続けているところはどんなところなのか?
結論は明確です。顧客と交流をしているところが、長く続いています。飲み物・食べ物・店舗の雰囲気にそれほどこだわらなくても、顧客と交流を深め、お得意様を増やしているところは、商いが続いています。それは、新規のお客様とも交流するところです。今の常連客も大切ですが、常連客を増やすために、新規のお客様とも交流するのも大切なのです。大手は個々のお客と交流を深めることはできません。できるのは、小さなお店です。そうしたお店が増えてほしいなぁ、と私は思っています。

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