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小説『待ってる』エピローグ

 「ばあば、もうすぐ ぼく のいもうとがうまれるよ。だからさ、まだきちゃダメなの。ぼくね、まだまってるから。ばあばは、ゆっくり くればいいの。ずっと、まってる」

 また夏が巡ってきたある日、ふと空を見上げた孝恵の耳に、陸の声が響いてきた。

「まってる」

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あとがき

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