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Margo-物語と糸- #20 |いとへんuniverseと西陣絣について

今月22日、久しぶりにMargoのカートをオープンしました。
今回いつもの「物語を染める」糸は一旦おやすみし、テーマを「いとへんuniverse」にして、いとへんuniverseがつくってきた西陣絣(にしじんがすり)の布を糸に染めています。

「いとへんuniverseってなんやねん」
「西陣絣って初めて聞いたけどどんな布なのかしら?」
と思った方もおられるでしょう。
今回は糸解説の前に、そのあたりについて綴りたいと思います。


いとへんuniverseとは……

いとへんuniverseは、西陣織や西陣絣の職人・染色作家・ライターがそれぞれのスキルを活かし、伝統工芸・西陣絣や手織り、手染めの魅力を伝えているチームです。
 (いとへんuniverseのウェブサイトはこちら→

実はMargoの二人は、いとへんuniverseのメンバーなのです。
といいますか、わたしと岡部はいとへんがきっかけで出会いましたので、いとへんuniverseはMargoの原点といってもいいのでは……? とさえ思っています。
このたびコロナの影響もあって京都三条にある共同アトリエを閉鎖することなりましたので、記念に「いとへんuniverse」がつくる西陣絣の世界を、糸に染めることにしました。

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西陣絣は、素敵なファブリック  
西陣絣とは伝統工芸西陣織の一品目で、先染めの糸をずらしたり組み替えたりして模様をつくりだす織物です。
西陣織は分業化が進んでいますので、西陣絣加工職人が担当するのは、絣加工のみ。糸を防糸して染めを手配し、染まった糸を並び替えたりずらしてタテ糸をつくるります。糸を染めたり織ったりするのは、それぞれ別の専門の職人さんです。

昭和の最盛期には150軒300人以上はいたと推測される西陣絣職人ですが、きもの離れの進んだ現在は、たった6名になってしまいました。
いとへんuniverseメンバーでもある西陣絣加工職人の葛西郁子ちゃんが唯一の若手で、あとは80代が4名、70代がおひとり。深刻な後継者不足に直面しています。

つくる人が減れば生まれる布自体減るわけで、いつしか西陣絣はレアな存在に。知る人ぞ知る布になってしまいました。京都で長くライターをして文化記事を書いてきたわたしも、いとへんuniverseを結成するまでその存在を知らなかったほどです。

あまり知られていないとはいえ、西陣絣の布はとても素敵で、プリントにはない魅力をたたえています。布好きさんなら一目で魅せられてしまうほどで、きものファンだけのものにしておくのは勿体ない。むしろ毎日使ってトキメキたい。
そんな思いから、いとへんuniveresでは現代の暮らしになじむ布作りを目指しています。

クラッチバッグ

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メガネケース

(詳しくはgoogle Art & Culture 日本の匠 ページでご紹介いただきましたので、ご興味ある方はこちらをどうぞ→

染物は織り上げた白い生地を染めて模様をつくりますので絵画的な魅力がありますが、織物は先染めした糸を織ることで造形物としての魅力を放ちます。
毛糸も実は先染めした糸ですし、織るか編むかの違いで、先染めの糸を造形するところは同じ。それゆえ、毛糸好きさんは織物も好きなんじゃないかしら……と密かに思っています。

いとへんuniverse、第2章の始まり
わたしはいとへんuniverseの立ち上げメンバーで、いとへんuniverseという名前をリーダーとチャットでやりとりして秒で決めた犯人でもあります。「Itohen universe」か「いとへんuniverse」かどっちにするかで、「絶対ひらがなです」と即答したのはわたしです。

そのことに後悔はありませんが、名前のなかに「へん」が入ってるのはかなりおマヌケであるということに、後々展示会に出展するたびに痛感することになりました。オサレなメーカーのロゴが並ぶなか、なんかうちだけ大学のサークル名みたいなんですよねえ……目立ちますけれども。

リーダーとしては当時
「とにかく! お高くすました伝統工芸のイメージを!! ぶっ壊したい!!!」
という熱い思いがありましたので、すんなり秒で、ゆるゆるひらがな案が通ったわけです。
名前はゆるく、でもつくるものはガチの本物で!
明るく楽しく西陣絣や手織り、手染めの魅力を伝えたい!
という思いは今も変わりません。

工房閉鎖というと「解散ですか!?」とよく間違われるのですが、活動は継続します。メンバーの工房でものづくりはできますし、コロナ禍の状況が収束すれば場所を借りてイベントやワークショップも開催するつもりでいます。

クラウドファンディングで工房設立をご支援くださった皆様には本当に申し訳なく力不足をお詫びするばかりですが、凹んでばかりもいられませんので、原点に立ち戻って「いとへんuniverse第2章」を始めようと思います。

第1章とはまた違うアプローチで、西陣絣を伝えていきたいと思っていますので、毛糸好きの皆様もぜひよろしくお願いいたします。

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(孫橋スタジオ近くの鴨川で、いとへんuniverseメンバーと。
左から 染色作家:岡部陽子 ライター:白須美紀 絣加工職人:葛西郁子 織物プロデューサー:大江史郎)


それでは次回から、布の紹介と毛糸の解説をしていまいります。

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