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【かわいい妄想】

絵を描いたから終わり、ではなくて、なぜ描いたか。どんな思いを込めたか。
これから自分の作品への想いも、絵の画像と共に、きちんと伝えてみようと思います。

*表現に用いてるのは、古典画法であるテンペラと油彩の混合技法。

膨大な時間と手間をかけて、何層も薄い絵の具の層を重ねていく技法です。そうしてできる複雑さが、本来見えないはずの「時間の経過」と重なるので、制作点数は少ないのですが、この表現方法で描いてます。

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【かわいい妄想】
30✖️29㎝ 板・油彩テンペラ(混合技法)
sold out

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この絵を描くきっかけは、ずっと人物にかわる【ヒトらしさ】を探していたこと。

人物画は難しい。
描くのも難しいが←骨格がない絵は弱い。またよく描けても、具体的な誰か、を連想してしまうし、服装や髪型で時代や背景を限定してしまう。
展示(発表)を重ねて、人物そのものを描いて普遍的な何かを表現するのは、すごく難しいんだと実感した。

人物に変わるヒトらしい何か。
毎日、探してみたが、当時住んでいた北鎌倉は街が渋い。
身近にキラキラしたものはあまりない。

チランドシア、リボン、リンゴ、朝鮮人参、鍵、エリンギ、、
あらゆるものを題材に、何枚も描いたが、モチーフそのもののイメージが強いと難しいようだった。
そんなある日、洋梨に出会う。

ぽってりと素朴なシルエット。
持ち帰り、アパートでデッサンしてみた。
ヒトのように見えて来た!
古くからの友人のように馴染んで見えた。
そこから何枚も洋梨をヒトに見立てた作品を描くようになる。

一点描くのに1か月は要したから(地塗りまで含めるとそれ以上)10点以上、数年も描き続けたことになる。

実際にはありえないことも、夥しい時間と熱意を込めて表現すると、架空=絵空事から、現実になる。

同じモチーフと構図で描いて3枚目。
さすがに、3枚目は手が形を覚えてどんどん筆が進む。

手前の棘を描いていて、テンペラで白起こししたら、まるで触れるようなリアリティが出た。
工房で声が出そうになる。

洋梨から間違いなくヒトに。

意思を持った!と思った。

【追記 】 現実と現実じゃないものの間って、実は曖昧だったりする。社会生活を送る上では、「一つの明確な現実に沿って行動すること」はとても大事だけど、絵も文もその境界を飛び越えて、頭の中のイメージが現実化(創作物として生まれ変わる)するから面白い!

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