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美しきバルール1ー24

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10代に出会った様々な人たち=個性的なバルール。凛が絵画を書き始めるまでの話。
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#絵画

美しきバルール

はじめに この世は【美しいグレー】に満ちている。 最近、絵を描きながらふとそう思った。 …

美しきバルール2 元組長の下で働く

「今日からよろしく!」 加藤から勢いよく差し出された手は、日に焼けて黒光りしていた。そし…

美しきバルール3 六法全書とカラヤン

凛が生活をおくる寮は、もともとどこかの社員寮だったらしい。 1話前の話はこちらで↓ 社会…

美しきバルール4 不良少年たちと働く

元組長・加藤が代表の造園会社で働くメンバーは、みな個性派揃いだった。 一つ前の話はこちら…

美しきバルール5 初恋

「付き合っちまえよ」 一つ前の話はこちら↓ 凛が声のした方を見ると、取り巻きに囲まれた上…

美しきバルール6 淡い失恋

「佐藤くんとトキちゃん、退所になったのよ」 1週間の過酷な研修を終えて寮に戻ってきた日。…

美しきバルール7 工藤のかあちゃん

凛の寮に中年女性が入ってきた。名前は”工藤のかあちゃん” 前回までの話↓ 本人に問題があって入所したわけではなく、素行不良で学校を退学になった子供の付き添いで寮に入ってきた。(その大きな寮は、寮生ともボランティアともつかぬ入所者の家族も何人かいた)工藤のかあちゃんはその丸っこい体型と同じく丸い人柄で、みんなから名前ではなく”工藤のかあちゃん”と親しみをこめて呼ばれている。 ミヨと凛、工藤のかあちゃんは同室となった。工藤のかあちゃんは、クセのあるミヨが同室でも全く動じない

美しきバルール8 ヤクザより強いスーさん

造園会社かビルメンテナンス。凛の施設で暮らす仲間は大抵はそのどちらかで働くことになる。施…

美しきバルール9 定時制高校へ

「君は何をやりたいんだい?」カズ兄に会うたびそう聞かれた。 前回までの話↓ 施設のストイ…

美しきバルール10 焼けた農場

「農場が火事になりました」ある夜のミーティングで寮長が告げた。 前回までの話↓ 林が放火…

美しきバルール11 マユちゃん

ある日、休学中の大学生というマユが入所した。美術大学でデザインを学んでいるそうだ。 前回…

美しいバルール13 寮と高校生活

凛の通う定時制高校は、夕ご飯がわりに給食が出る。 前回までの話↓ 高校生とはいえ、昼の仕…

美しきバルール14 金色のカエル

凛の姉、早紀はずっと優等生で通っていた。姉妹の祖父母は4名とも教職についており、親戚もほ…

美しきバルール15 刺激的な日々

元ヤクザの加藤と不良少年(と数名の少女)に混じっての仕事は、凛にとって驚きの連続だった。 前回までの話↓ 家にいたときは不良少年どころか一般的な同級生にだって心を開かなかったのに、造園の現場で耳にする会話は物騒極まりなく、現実感がわかないときすらある。 「加藤さん、夏でも絶対長袖だろ?なんでか知ってる?」上川がニヤニヤしながら凛に聞く。 「背中にでっかい龍がいるんだよ」「え?龍?」凛の反応に林がケタケタ笑った。 真夏、少年がタンクトップ姿で作業する中でも加藤は長袖だ