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タイトルで期待してなかったが読み終わったら涙が出て仕方がなかった『お父さんはユーチューバー』

映画やテレビドラマにしたらいい、という小説がある。映像化に適している小説といったらいいか。

宮古島に住む小5の海香。絵が好きで将来は東京の美大に行きたいと考えている。
あるきっかけでお父さんが始めたYouTubeがバズり、家族は翻弄されていく。そのお父さん、勇悟は若い頃東京で芸人をやっていた過去があった。

ある日YouTubeの撮影中に勇悟の過失で生家のゲストハウスを焼失してしまう。勇悟はなぜそんなに再生回数を上げようとやっきになっているのか。

読み始めた時はユーチューバーという今風の職業が題材になっているだけで、ありきたりの物語だと思っていた。しかし後半になってその真意がわかるにつれて…。

赤ちゃんの海香を勇悟が持ち上げる。

「どうだ。海香、これが宮古島の、おまえの海だ」

すると海香が声を上げた。

「あーっ、あーっ」

「すごい。海香ちゃん、この海見て声を上げたよ」

勇悟は笑って言った。

「当たり前だろ。これが海香の故郷なんだからよ。海香はこれから毎日この海を眺めて育つんだよ」

涙と共に読んだこの本は今年最高の爽やかな読後感だ。

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