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キング.クリムゾン


田舎の高校生だった私が大阪の友人に勧められて聴いたキングクリムゾンのファースト、今は大人の事情で「21世紀のスキゾイドマン」と言っているが、当時は「21世紀の精神異常者」を聴いた時の衝撃。ぶっ飛んだ。

アバンギャルド、ハードロック、フリージャズ、インプロビゼーション、カオス。
後にフリージャズやファンク、ダブ、パンクの要素を取り入れた「ポップグループ」の「Y(最後の警告)」や「For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?」はこの曲に多大な影響を受けているに違いない。

このアルバムは長年君臨していたビートルズの「アビーロード」をチャートから引きずり下ろした。

このファーストアルバムと共に重要なのが1974年発表の「レッド」だ。
全五曲40分間。一曲たりとも無駄のない、刀鍛冶が鍛えた名刀の如く全てが名曲だが、私が特に好きなのが「one more red nightmare」だ。

今は無きパンアメリカン航空機が乱気流に入った時のパニックを歌った曲だが、間奏に入った時のビルブラッドフォードのドラム、メルコリンズのサックスが素晴らしい。プログレッシブロックの雄と言われるクリムゾン、ロックとジャズのフュージョン。この曲はジャズファンにこそ聴いてほしい。

ミステリー作家の法月綸太郎に「One More Red Nightmare」の直訳である『ふたたび赤い悪夢』という作品がある。そしてニルヴァーナのカート・コバーンは『レッド』を最も影響されたレコードの一枚として挙げている。

西区にある厚生年金会館(現在のオリックス劇場)でキングクリムゾンのライブを観たことがある。ロバートフリップが正確性を期すために椅子に座ってギターを弾いていたのが印象的だった。
当時鶴見区の放出(はなてん)に住んでいたのだが、ライブに遅れないようにと前日に何度も地下鉄に乗って会場への時間と場所を確認したのを思い出す。現在その目と鼻の先に住んでいるのがクリムゾンに導かれたようで何だか不思議な感覚だ。

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