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パンダの足あと~その5の3:「滝本晃司ライブ」(@京都SOLE CAFE/2016.09.17)

■入洛

土山SAではすでに夜が明けていた。それから一時間ほど後の午前8時、ついに京都駅に到着。
バスはそのまま大阪に行く便なので、せわしなく降ろされた。
けれど周囲を見ると、京都タワーが見当たらない。
京都タワーがあるのは烏丸口。バス停は、八条口。京都駅を挟んで、北と南という位置関係だった。京都タワーに行くには、駅を突っ切らなければならない。
ところが京都駅をそんな風に歩くのは初めてのこと。どうやって行けばいいのかわからない。
しかも私は汗だくTシャツとジーンズ、顔はスッピン、夏の終りだというのにマスク着用と、非常に怪しい風体。
土曜日とはいえ、朝の通勤通学の時間帯。人が行き交う中を、ウロウロしながら烏丸口を目指した。(交番に聞けばいいのにね)

やがてようやっと出られた烏丸口。見上げると、でかいエノキ……もとい京都タワーがそびえ立っていた。
そこはバスターミナルで、帰りのJRバスはここから出る。16時間後。念のために、バス停を確認しておいた。
それからようやっと、京都タワーの真下に到着した。
少々昭和っぽい建物に見えたけど、築が昭和なので当たり前。
正面玄関がまだ開いていなかったので横に回ると、開いているドアを見つけた。入ってすぐのところにあるエレベーターで、地下三階まで降りた。
エレベーターを出ると、ほんのりと漂う風呂の香り。
すでに数名の女性が並んで待っていた。どうやら同じように夜行バスで入洛した先客らしい。男性風呂もあるはずだけど、女性ばかりが並んでいる。
そこへ支配人らしき人物がやってきて、テキパキと説明をしてくれた。手馴れた喋りが小気味良い。気分よく待てたせいか、思ったよりも時間がかからなかったような気がする。
まもなくして自分の番が来たので、入り口にある自販機で券を買い(入浴料はWEBクーポン割で840円+バスタオル100円。フェイスタオルは無料)、フロントでタオルとロッカーの鍵を受け取って入場した。

女風呂。混んでいるかと思いきや、パウダーコーナーが混んでいるだけのようだった。私と同じ目的なら、それもそうか。

長距離夜行バスの後の、大きなお風呂……これはクセになる。

実は温泉に長く入ってはいられない性質なのだけど、それでも体を伸ばせることの気持ちよさは最高だった。
風呂からあがった後は、着替えとメイク。時間的に少し空いてきていて、ゆっくりと身支度を整えることができた。
京都タワー大浴場。値段的にも立地的にも、とてもよかった。

■ちょっとだけ郊外へ、そしてランチ

この日、友人と待ち合わせをしていた。
名古屋からやってくる、若くてかわいいお友だちのSちゃん。
彼女が到着するのは13時とのこと。京都タワーから出たら、まだ9時半。時間はたっぷりある。

京都だからどこか寺などを見て廻るといいのだろうけど、ここでちょっと行ってみたいところがあった。
私は朝ごはんを食べずに、そのまま京都駅からJRに乗り込んだ。
行き先は嵯峨嵐山駅。
緑の多い方へと電車は進む。その車窓の風景も魅力的だった。
嵯峨嵐山駅はトロッコ列車が出る駅でもある。

何故ここを訪れたのかというと、この街にある古書店が目当て。
元々本は大好きだけど、佇まいも素敵な店舗だった。(実はTwitterでは相互なのだけど、そんなに対話をしているわけではなかったので、名乗ったりはしなかった)

本を買って店を出ると、ふとコーヒーを飲みたくなった。
どこかでコーヒーでも......と周囲を見回し、喫茶店を見つけた。“コーヒーショップ”ではなく “喫茶店”。

廣瀬珈琲店
昔ながらの喫茶店といった趣。地元のお客さんがたくさん、おしゃべりしたり新聞読んだりしながら寛いでいた。
私はよそモノ故にちょっと物怖じしつつ、でも“スキル:おばちゃん”を発動して堂々とカウンターに座った(でも端っこ)。
ブラックコーヒーを一杯。深いけど飲みやすい、美味しいコーヒーだった。目が覚める。
店を出る時、蝶ネクタイのマスターから「おおきにー」とやわらかなイントネーションで声を掛けられたのが、うれしかった。

それからJRで京都駅に戻った。到着は11時ごろ。
昨夜から何も食べていないから、そろそろ昼食を摂ることにした。

しかし何も考えていなかった。
今回、行きの交通のことばかりに気を取られ、ほとんどグルメ系のリサーチをしていなかった。さて困った。
駅の外に出てしまうと選択肢は膨大になるので、出ないで行ける範囲に決めた。
それでも多い。
まだ京都駅内の構造がわかっていないし。
伊勢丹があるのはわかった。
デパートとなると、上の階に行けば何かしら食べるところはある。なら、そこでいいのではなかろうか。
そんなわけで、エスカレーターをひたすら上っていった。
その先にはレストラン街があった。やはり店の数が多い。
高価な店もあるし、東京が本店のチェーンもある。土曜日の昼時とあって、ひとも多い。選びあぐねて、ひとりで何度もウロウロ歩き回った。

そうして辿りついたのが、こちら。
京都ことこと

The Cubeという商業施設の中にある、ランチにおばんざいビュッフェ付きのメニューがあるお店。
京都とくれば、“おばんざい”。ひとり客もいたようだったので、こちらに決めた。
少し待ってから入店。“丹波黒どりの親子丼のセット”を選び、専用皿を持っておばんざいコーナーへ。
ああ……これは食べすぎる……。時間制限があるものの、好きなものを好きなだけいただける。どれも美味しいし、作りたて。親子丼も美味しかった。

食事を終えて身支度を整えてから、待ち合わせのJR改札へ向かった。
それでも少し早く着いてしまって、お土産屋を冷やかしたり人間観察をしたりして時間潰し。
やがてSちゃんが到着。
再会を喜び合い、それからまずはその夜の会場に向かった。

(その5の4へつづく)

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