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パンダの足あと~その3:「タキモトさんとオツベルさんと」(@栃木県・鹿沼興文堂/2015.11.08)

■プチ遠征×2

名古屋遠征から早くも3年経った。

2013年は春以降、滝本さんの遠方でのライブが無かった。
2014年はというと私の身内に不幸があり、2015年秋に一周忌を終えるまでは遠出を避け、都内のライブにだけ行っていた。

2015年11月、滝本さんの北関東でのライブが、2日間続くことになった。7日に茨城県戸頭、8日に栃木県鹿沼。
調べると両方とも行けなくはない。ちょっと大変そうではあるけれど。
途中どこかに泊まろうにも、どこに泊まればいいのやら。茨城と栃木は隣なのに、泊りがけで行こうとすると大変。二回外出する分の交通費と宿泊費を天秤にかけつつ、悩んだ。

そこへ音友さんから、7日の茨城へ行くのに車を出すから一緒にどうですか?とのお声掛けをいただいた。
よって、7日の茨城県戸頭での第三回「全日本○珍音楽大博覧会」はぼっち遠征ではなくなった。数名での楽しい車移動の遠足。ありがたい。
その翌日の栃木は、自宅から電車で向かうことにした。

オツベルさんは、改名する前にやっていたご自身の定期ライブの最終回で、滝本さんをゲストに呼んでくださった方。ケチである私が迷わず彼のCDを買って帰ったほど気に入ってしまった、シンガーソングライター。
そのオツベルさんと滝本さんのツーマン。やはり何としてでも行かねばならない。

そんなわけで、2日間連続日帰りプチ遠征が決定した。

■行楽電車と雨の新鹿沼

新鹿沼駅は、普通にJRや東武伊勢崎線、東武日光線を乗り継いで行けば、我が家からだと1600円強(ただし3時間かかる)で行ける。
ところがおかげで7日の移動費が浮いたため、ここは特急を選んだ。事前にチケットを買って。(スペーシアだったと思う)
帰りは特急を選べないから、というのも理由。

今はどうかわからないけど、当時は21時24分に新鹿沼駅を出る電車に乗らないと、都内に帰れなかった。何回もNAVITIMEで検索をかけても、同じ。それより遅いと、途中の小山駅止まり。そこで泊まる手もあったけど、翌日は出勤の予定。
始まるのが早い時間のライブだったから、セッションがあったとしても間に合う。そう思っていた。

いつものように、予約した時間より1時間早く北千住駅に着く私。
折角の特急なので、駅弁を購入した。
その電車は上野が始発で、すでに出来上がっているおじさんたちで盛り上がっていた。鬼怒川温泉に向かう特急だから、無理もない。結構うるさいけど、気分だけは楽しい。
混んでいた割には、隣がずっと空いている席だったからよかった。
駅弁を食べて、あとは居眠り。

1時間半足らずで、あっという間に、新鹿沼駅。
降りた人数はすごく少なかった。
この日は雨。肌寒い中、駅前で友人を待った。
ぼっち遠征と言いながら、現地でだけ友人と同行した。彼女は東北方面から車でやってくる。Twitterの相互ではあったものの、この日が初対面だった。
人に初めて会う時は、いつも緊張する。誰かわからなかったらどうしよう?などと思ったけど、そんな心配は必要ないほど駅前には人が居なかった。
しばらくして、事前に聞いていた通りの色の服で彼女が現れた。
初対面なのにすぐに打ち解け、近くにあった道の駅まで行って一休み。しゃべりまくった。
ぼっちで遠征先に向かって、そこで知り合いと落ち合う。というのは、の日が初体験だった。

■タイムリミット

早いうちから並んで、そこの店長さんとお話しさせてもらっていた。
「おそらく8時半くらいには終わると思うよ。だから9時24分の上りに間に合うね」
それなら大丈夫。よかった。

ところが。

数時間後。
開場前とは一転、私はハラハラしながらステージと時計を交互に見ていた。

時刻は20時台後半。ライブは滝本さんのコーナー最後。
それからアンコールするとして、何曲やるか知らないが、21時は確実に越える。とりあえず友人には、途中で帰るかもしれないということを伝えた。

嗚呼、早く終わって欲しいけど、終わって欲しくない。
複雑な乙女心。

アンコールは滞りな……くはないが、楽しく進む。

でも。
でも。

おそらく最後の1曲であろうと思われる曲が始まる直前で、21時5分。
私は席を立った。

会場入り口に、同行されていた滝本さんの奥さまがいらした。
「もう(電車)間に合わない?」
「そうなんです……」
それでも名残惜しくステージを遠目で眺め、後ろ髪引かれながら、私はそこを後にした。そこから駅までは5分かからない距離だったが、全力疾走。何とか5分前に上りホームに滑り込んだ。

見渡すと、いつもライブでお見かけする他のファンの方がいらした。あなたもでしたか。
「ポコポコを最後まで聴きたかったーー!」と心で叫びながら、私は来た電車に乗った。帰りの複雑な乗り継ぎも、スマホ片手に何とかこなした。NAVITIMEは私の遠征に欠かせない。もちろん有料会員である。
そうして何とか、日が変わる頃に帰宅出来たのだった。

最後までタンノウできなかったのが、残念無念鳩胸ん。
ふだんのライブでも、時折アンコールを待たずに店を出てしまう方々を見かけるが、きっとこんな悔しい気持ちなんだろうな。不本意ながら、今回初めて理解できたのであった。


(その3、おしまい)

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