見出し画像

/// 展覧会/// 金と銀のきらめき /// 開催中

皆さん、こんにちは。私たち姫路 三木美術館では1年に4回の展覧会を開くようにし、その折々にあう美術作品を愉しんでいただけるようにしています。現在開催中の展覧会「金と銀のきらめき」について少しご紹介させていただきます。開催は2023年2月26日(日)まですのでどうぞお見逃しなく!

「金と銀のきらめき」にこめた想い

新しい年が明け、ちょうど1ヶ月が経ちました。皆様はどのように2023年を迎えられましたか。昨年、当美術館は『姫路城 ぬりえアートコンテスト』を主催し、多くの方にご来場いただく機会となりました。普段は大人の方をお迎えすることの多い当美術館ですが、この時ばかりは小さなお子様がいらして受賞作品展示のフロアは賑やかになりました。

年が明けるというのは、年齢やいる場所、その時の世情は違っても公平に私たちに大なり小なりの希望をもたらしてくれるものですね。私たちは今、姫路での文化向上に少しでも役立てるよう「昨年を超える取り組みをしよう」という前向きな思いでいっぱいです。そんな晴れやかな気持ちを皆様とシェアしたく、展覧会では華やかな作品を見ていただくことにしました。

今年は10年ぶりの大寒波もやってきて寒い日が続いておりますが、こんな時こそ三木美術館で華やかな作品を眺めて心を温めていただければ。皆様のお越しをお待ちしております。


展示品の一部をご紹介します 〜陶磁器・ガラス編〜


作品タイトル:芦絵銀彩鉢 作家名:北大路魯山人

制作年:1940~50年代

北大路魯山人の肩書をひと言でいうと明治から昭和初期にかけて活躍した芸術家ということになるのでしょうか。京都にある上賀茂神社社家に生まれましたがすぐ里子に出され、その後も養家を転々とする不遇な少年時代を送りました。そんな状況も手伝い、画学校への進学を望んだものの養家の経済的な理由でかなわなかったといいます。
そして14、15歳頃から書道コンクールに応募をしだし、いとも簡単に受賞したかと思えばそれからは次々と賞を受賞していきました。そしてその賞金は絵筆の購入にあてるという根っからの芸術好きだったようです。独学であったにもかかわらず、書と篆刻の分野でまずは才能を開花させました。
そして骨董屋を開き、会員制の料亭『美食倶楽部』も手がけているうちに料理と器の関係に目覚めたといわれています。会員制の料亭では、収集した陶磁器に料理を盛り付けてもてなしたりもしたようですが、「器は料理の着物である」という考えのもと、より料理に合う器を探し自ら器も創作を手掛けるようになったのです。
書道家、画家、篆刻家、陶芸家、そして料理家であり美食家。実にさまざまなジャンルで、偏ることなく才能を満遍にそしてずば抜けたセンスで発揮した稀代の芸術家、北大路氏。人物像は非常に気難しく喧嘩早いと伝えられ、相手がだれでも噛み付く時は噛み付くようでしたが、それは幼い頃からの不安定な境遇から自分の才能だけを信じて生きてきたからかもしれません。

前面に金彩や銀彩を施した鉢は華やかな表情でありながらもどこかに素朴な影が。最晩年の作品と聞くと、北大路魯山人氏の人生と重なって見えるのは、私たちの思い過ごしでしょうか。

                  [  企画制作/ヴァーティカル]


                  






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?