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Week1-2)ストップモーション・アニメーション制作を授業で行う利点

MediaSmartsのオンライン講座「Making Media Across the Curriculum」、一週目のゲストスピーカーはHands On MediaファウンダーのJessie Curell氏。ストップモーション・アニメーション制作を学校で行うことの利点と具体的なやり方について動画でレクチャーがありました。

その内容を以下にまとめます。

1.この授業の柱

この授業の柱にあるのはメディア・デジタルリテラシーである。
◆メディアリテラシー:メディアにアクセス、分析、評価、制作する能力
◆デジタルリテラシー:インターネットプラットフォーム、ソーシャルメディア、モバイル機器などのデジタル技術を駆使して、コミュニケーションや情報へのアクセスが増加している社会で生き、学び、働くために必要なスキル

2.なぜこの授業をやるのか

受動的なメディアの消費者にならない、自分自身でメディアを作ることが大切だ、とただ生徒に言うより、生徒がメディアの作り方を学ぶことが一番効果がある。そこに、この授業をやる意味がある。

3.ストップモーション・アニメーションとは何か

パラパラ漫画もストップモーション・アニメーションの一つ。少しずつ絵に変化をつけて動いているように見せるもの。絵を描くのは少し大変なので、対象物に少しずつ変化を付けて写真に撮るのが良い。対象物は粘土で作っても良いし、椅子、ペットボトル、鉛筆、人、砂、レゴのキャラクターなど、なんでも使える。

↑ ルネッサンス期を表現したアニメーション(Hands On MediaのYoutube)

↑ Black Lives Matterに関するアニメ―ション(Hands On MediaのYoutube)

4.ストップモーション・アニメーションの良いところ

◆ 対象年齢6歳以上、クラスでできる
  作業が多いので大変だと思うかもしれないが、子供は皆夢中になって作業をするので心配はいらない
◆ 様々な授業で活用できる
  ・第二外国語のクラス(物語の作成、タイトルやクレジットのタイピング、キャラクターの会話を入れることで話すトレーニング、など)
  ・メディア学習
  ・メディアリテラシー
  ・コンピュータ学習
  ・歴史(歴史を学び再現する、など ※先に紹介したルネッサンス期を表現したアニメーションもこれに当てはまる)
  ・算数(足し算、幾何、図形。ストップモーション・アニメーションをネットに公開してどのくらい拡散したのか、その状況(数値)を授業に取り入れ活用する、など)
  ・社会科(イベントなどの公共サービスについての告知、など)
◆ 複数の学びを融合したメディア制作活動で、自己表現、アイデンティティ、物語作成の機会を提供する
◆ 先生が生徒について、生徒同士がお互いについて学ぶ機会になる(SEL:社会性と情動の学習)

5.準備するもの

iPadまたはカメラなどのデバイス、それを固定する三脚
 ・1グループ5人構成、グループで1つのデバイスが必要
 ・キャラクターだけを動かすのでデバイスを手で持って撮影するのはNG
 ・有料アプリStop Motion Studio proがおすすめ。音楽の追加、テキストの追加と書き出しができる。

6.制作方法

①写真を撮る
② キャラクターを少し動かして別の写真を撮る。動かすキャラクターは小さい方が良い。変化を少しずつ付けることでキャラクターがスムーズに動いているように見せることができる。
③ 再生して動きがスムーズかどうか確認する

7.制作の3ステップ

① 撮影前
 ・背景の決定(手作りでも良い)
 ・ストーリーボードに従って話を作る
 ・始まり、途中、最後
 ・キャラクターの決定
 ・キャラクターの制作(粘土、紙、レゴ、など)
 ・先生として、絵コンテとそれを説明するコメントを確認し、提案をする(例えば、空を飛ぶシーンがあれば、アニメーション制作の時に手が映ってしまうので、床を使って撮影することを提案する、など)

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絵コンテの例(出典:education world

② 撮影
 ・iPadやカメラなどデバイスのセッティング
 ・少しずつ動かして撮影をする
 ・役割を決めて撮影する(交代しながら行い、全員がすべての役割を体験するようにする)
   ‐ディレクター:絵コンテを持ってアニメーションと物語が正しいかどうかを確認する
   ‐カメラマン:撮影をする
   ‐セットデザイナー:セットと背景が常に適切かを確認する
   ‐アニメーター(2人):撮影ごとにキャラクターを動かす

③ 撮影後
 ・全員でレビューを行う
 ・不要な部分を削除する
 ・音声、効果音、音楽、文字を入れる
 ・書き出しをする

タイトルとクレジットを入れることを忘れないこと。デジタルリテラシーを学ぶ場なのでクレジットが必要なことも教える。(アプリに入っているフリー素材の音楽を使用したのであれば名前を入れる必要はない)

8.完成後

上映会を開くのも良い。生徒は人前で話す練習をし、プロジェクトをクラスに紹介し、経験を振り返り、次のプロジェクトを計画するかもしれない。

生徒がよければ公共の場、家族や学校関係者、他のクラスの人などを呼んで上映会をする。生徒はとても喜ぶだろう。生徒の許可があればFacebookや学校のHPでシェアしても良い。

このレクチャーを受けて

GIGAスクール構想で一人1台の端末が配布される日本では、今後このようなメディア制作を行いながらメディア・デジタルリテラシーと他の教科を一緒に学ぶ機会を持つ可能性は大いにあると思う。そんな時、楽しみながら教科横断的に学ぶことができるストップモーション・アニメーションのこの例は参考になるだろう。


トップ画像:ストップモーション・アニメーションの代表格「ひつじのショーン」のYoutubeから。

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