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Week2-1)メディアとテクノロジー

MediaSmartsのオンライン講座「Making Media Across the Curriculum」、二週目のトピックは「テクノロジー」。MediaSmartsの教育ディレクターであるMatthew Johnson氏から「メディアの種類、メディア制作の注意点」について動画でレクチャーがありました。

その内容を以下にまとめます。

1.メディアの種類

メディアと一言で言っても、ゲーム、動画、漫画、など様々な種類がある。映画の場合は編集・カメラアングル・音、漫画の場合はコマ構成・レイアウトなど、ジャンルごと、そして同じメディアでも目的ごとに効果的な表現方法が異なる。つまり下の図で言うと、赤枠内ではそれぞれ表現方法が違う。メディア制作の前に、その基本的な方法(メディアの文法)を理解しておく必要がある。

Week2-分類

レクチャーを基に筆者作成

時にテクノロジーの選択は、メディアの制作において大きなインパクトを与える。制作ツールを選ぶ時、生徒が制作しようとしているものを基準に選ぶというやり方も良い。ツールによって、できること・簡単にできること・もともとできることが異なるため、何のツールを使用するのかは制作に大きな影響を与えるからだ。

2.メディア・テクノロジー・ツールの選択

選択の際には、構築主義と言う学習法の提唱者の一人であるシーモア・パパートの「創造的ツールは、low floors、wide walls、high ceilingsであるべきだ」が参考になる。

 ① low floors(敷居が低い)
使い始める時に、ほとんど新たに学ぶ必要がない、すでに慣れ親しんでいる、またはできる。
 ② wide walls(沢山の異なることができる)
幅広く様々なことができる
 ③ high ceilings(余裕がある)
変化に合わせて柔軟に使用することができる

選択を難しくしているのは、メディア・テクノロジー・ツールのそれぞれに、この3つの側面があるからだ。
一般的にテクノロジーやツールは、生徒がスキルやリソースを持っていなければできないようなことを自動化することで、メディアの敷居を低くする。
しかし、元々持っているスキルやリソースのレベルに差があるので、このような状況でも一部の生徒や教師にとって大きな障壁になり得る。その大きな理由は、若者が一世代前よりもプライベイトでメディアを作成する頻度がはるかに高くなったが、学校での授業は比較的変化が少ないことが挙げられる。
そこで教師は、テクノロジーがどれくらいアクセスしやすいか、特定のツールがどれくらい使い/学びやすいか、low floors、wide walls、high ceilingsの3つを合わせて検討し、メディア制作への障壁がどれくらい低いか、を考える必要がある。

3.教室でメディアを制作する時の問題

研究の結果、2つの問題が明らかになっている。
① テクノロジーへのアクセス問題
端末不足、学校のネットワーク/WiFiの制限、アプリのダウンロード・学校の機器にプログラムをインストールすることが難しい、時代遅れのツール、授業中や教師の研修中にツールに十分アクセスできない、生徒が家でツールにアクセスできない、インターネットのセキュリティ
(解決案)
1)テクノロジーを使用する工程を少なくし、端末を順番に使用する(端末を使用しなくても良い工程を設ける、など)
2)生徒の端末を使用する。生徒の知恵を借りることで技術的なボトルネックを回避することができる。一方で個人の端末を持っていない生徒もいるので、考慮する必要がある。そのため、個人端末の使用は慎重に行わなければいけない。

② 特定ツールの使用問題
スキルの限界:教師の研修機会/研修時間不足、教師のツールに対するスキル不足、生徒のスキル不足/スキルのばらつき、生徒への説明不足、生徒による不適切なテクノロジーの使用
(解決案)
生徒によってテクノロジーの理解や習得にばらつきがあるのは自然なこと。ツールに精通している生徒には「サポート役」をお願いし、他の生徒の問題解決に取り組んでもらう。授業に退屈している生徒に困っている生徒を助ける役割を与えることで、生徒の自立を助ける。

4.生徒の制作物を公開するかどうか

正解はないがいくつかのチェックポイントがある。
① 生徒にはプライバシーがあり、保護者は法的に子供の制作物を公開するかどうかの決定権がある
② 制作物の公開はメディア制作の一つの段階である。例外はあるが、制作をするということは最終的に観てもらうことを指す
③ 公開をしない場合、生徒の良い制作物にしようというモチベーションを奪う

公開をする時間をクラス内、もしくは別のクラスと設け、生徒がプロジェクトを発表する。もっと公の場で行う場合、それが生徒個人を特定できるものかどうかを考えること。特定できる場合は家族とのみWEB上で共有するのが良い。ビデオゲームやストップモーション・アニメーションなど生徒個人を特定できないものや、生徒の音声のみ入っているものなどは両親や保護者に確認すること。教育委員会のポリシーを確認するのも役に立つ。これらをすべてクリアした時、生徒の制作物を公開できる。

このレクチャーを受けて

テクノロジーの進化に伴って、教師だけで授業をアレンジし続けるのは大変であり、ほぼ不可能になってきているのでは。外部講師の活用、生徒から知恵をもらう、などして対応するのが最適なのだと想像する。伝統的な教育手法である教師から生徒への一方通行の授業ではなく、生徒から教師へ、生徒の得意な分野で授業を生徒にサポートしてもらう、というスタイルが今後は増えていくのではないか。自分の子どもの時を思い返して、そんな授業だったらもっと授業を受けていて楽しくなるな、とわくわくするのだった。

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