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ファーストフード界で勝つ新しい方程式

ファーストフードと言えば?マクドナルド?KFC?それとも日本ならモスバーガー?ミスター・ドーナツ?それとも吉野家?今アメリカではファーストフードと言えばダンキン・ドーナツ(DNKN)なんです。と言うのは今回のノートを書く上でそのようにさせて下さい(笑)。ダンキン・ドーナツは東海岸のマサチューセッツ州の企業で、西海岸へ行くほど、店舗数が少なくなり、私が住んでいる南カリフォルニアのトーランスには1つも存在しませんし、一番近くにある店舗も車で30分位運転しないとないので、正直ダンキン・ドーナツを良く理解出来てません。もともとドーナツがあまり好きでない事もありますし、ファースト・フード自身、自分の中では、米国内を旅行をする際に食べる非常食的な存在なので、今回のノートでは非常に客観的なアプローチで書きました。

ダンキン・ドーナツは非常に興味深い歴史があり、設立されたのは1948年で、現在米国内で約7,600店舗を展開しており、米国内におけるドーナツシェアはダントツ1位を確保しているが、日本では1970年に銀座にオープンされたが、その後、西武グループ、吉野家グループに売却されたが、マーケティングがうまく行かず1998年を最後に日本からは撤退している。だから現在ダンキン・ドーナツは日本には1店もありません(在日米軍基地内に1店舗ある)。しかしそれよりも興味深いのは、日本では有名なミスター・ドーナツ(ミスド)とダンキン・ドーナツの設立者は親族関係者で、1970年スタート時はライバル関係だった二人は、いずれミスドはダンキン社に買収され、そのダンキン社もヘッジファンドに売却され、1990年には米国ではミスドが無くなり、同時に日本では大阪吹田市に本社があるダスキンが米国オーナーから権利を買収し、ミスドは日本企業となった経緯がある。

実は先週10月30日2019年にダンキンドーナツの四半期決算レポートの発表がありました。その決算書発表後にダンキンの株価が$74から$78と約6%上昇しました。今回はその理由を分析したいと思います。

実はダンキンドーナツの正式名は5年前にダンキンに変更されており、それの成果もあり株価がほぼ3倍になったと言われている。これはダンキンがドーナツだけでなく、他の食品やサービスも展開していると言う事を表す為に必要だったのかも知れませんが、それが投資家にも理解しやすかったんだと思われます。

では、今期(2019年7月から9月)株価が上がった理由ですが、4つあるとレポートには書かれていました。

1)アイスコーヒーをコールド・ブリューと言う名前にしたから。
これマジです。それにより利益率が約25%アップしたと書かれています。アイスコーヒーの製造プロセスは熱湯でドリップされたコーヒーを冷やしたものに対して、コールド・ブリューとは冷たい水で12時間かけてドリップされたコーヒーなので、アイスコーヒーと比べ味にコクが出て、スムーズになると言われています。ダンキンはそれに対して今までのアイスコーヒーの名称をコールド・ブリューと言う名前に改正し、製造工程に時間が掛かっていると言う理由で、価格を高く設定した事により、利益率もアップさせる事が可能になったと言う訳です。

2)朝食メニューを増やした。
まず今アメリカのファーストフード業界では朝食を提供するか?しないかが良く協議される事が多く(それは朝食を提供する事により経費が売上よりも圧迫され、マイナス収益になりかねない危険なサービスと言われているから)。しかしダンキンはドーナツと言う性質上、必須的に朝食戦争の中心におり、今まではドーナツのみだけでなく、クロワッサン・サンドイッチ、ベーグル・サンドイッチ、イングリッシュ・マフィン・サンドイッチとマクドナルトと同じようなメニューだったのが、今期NYでテスト的にスタートしビヤンド・ミートをベースにしたメニューがあたり、11月から全国展開すると発表された事も理由の1つのようです。ビアンド・ミートはフェイク・ミートと言われている植物ベースの肉で、動物肉を一切使用していない、植物肉です。ビヤンド・ミートだけでも十分このノートで紹介する位、今話題になっている商品です。そのビヤンド・ミートをベースにした朝食メニューを増やし、今までターゲットに出来ていなかったベジタリアンやビーガン人口にもアプローチが出来る事になった事が投資家に評価されました。しかしこのアプローチは現在ファースト・フード業界では流行しており、ほぼ全てのファースト・フードメニューにこのフェイクミートメニューが加えられており、今は特別感が出ていますが、今後は普通になると思われるので、また違うユニーク差を考えないと行かないと駄目になるでしょう。

3)デジタル・リワード・プログラムの成功
ダンキンはDDポイントと言うデジタル・リワード・プログラムを提供し始めて、全体の25%の顧客がこのDDポイントに参加しており、このリワード・プログラムのお陰でこの四半期の売上に貢献したとも書かれています。現在ファースト・フード業界ではスマホを利用したデジタル・リワード・プログラムを提供する事がマストとなって来ており、反対にリワードを提供しない企業は、今後業界戦争で苦戦するだろうとも言われている位、リワード・プログラムは重要なキーポイントと言われています。ダンキンはその教科書どおり、リワード・プログラムとデジタル・ペイメントを活用し、収益に貢献しています。ちなみに現在米国でファースト・フードのリワード・プログラムと言えば、スターバックスが断然1位で、他社を大きく引き離して、リワード・プログラムの王様と言われています。スタバはこのリワード・プログラムをゲーミフィケーションさせる事で、売上に大きく貢献させる事に成功を収めている企業と言え、スタバはこのリワード・プログラムだけを他社企業にも提供する別会社を設立し、ソフトウェアにも手を付け始める位、強力なツールとされています。

4)ピックアップ、デリバリーの開始
これは全然特別な事ではないのですが、ダンキンもサードパーティ・サービス(Grubhub)と提携しフード・デリバリーを始めたと言う事です。まずは3)のリワード・プログラムの副産物として貢献している事がもう1つあり、それは事前注文が可能となり、お店に到着する時には、列に並ばずに、商品がカウンターで用意されていると言う事です。これを可能にした事により、多くの顧客がアプリを活用し、注文が多くなった事。そしてGrubhubのデリバリーサービスと提携した事により、当たり前ですが、自然と注文数、売上が上がりました。このピックアップ、デリバリーはファースト・フード業界では当たり前になって来ており、このサービスを提供しない企業は、今後のファースト・フード戦争に打ち勝つのは厳しくなるでしょう。

以上、如何でしたでしたか?もちろんファースト・フード界で勝って行くには上記だけでない事は、当たり前ですが、今回ダンキンの株価が上昇した理由になるかと思われます。そして私が思うのは、今回ノートに書いたのはファースト・フードの事ですが、同じような事が他の業界でも言えるのではないかと思いました。

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