DoorDashとはどういう会社?IPO目論見書を解説!
フードデリバリーのDoorDash(NYSE: DASH)が12月第二週にIPOします。主幹事はゴールドマンサックスです。IPO目論見書はこちらです。
DoorDashの2019年の売上は前年比204%増の8億8,500万ドル、注文数は2億6,300万件、前年比217%増でした。9月に終了した直近9ヶ月では、売上が8億7,900万ドルで前年比268%の増加でした。本社はカリフォルニア州サンフランシスコ、従業員はグローバルで3,280名です。
サービスについて
DoorDashはUberEatsと同様に飲食店、消費者、Dashers(配達ドライバー)をマッチングするフードデリバリーサービスです。消費者はDoorDashのモバイルアプリもしくはウェブサイトを通じてフードを注文します。
ビジネスモデル
DoorDashは、注文に対して消費者が支払う手数料と飲食店に請求される手数料から収益の大部分を生み出します。飲食店はDoorDashと契約を結び、Dashersの配達コストを賄うための手数料をDoorDashに支払います。
注文ごとに、消費者は2つの料金を支払います。(1)固定配送料金(2)注文された商品の合計金額に基づく変動料金。また、DashPassと呼ばれる月額$ 9.99のサブスクリプションプランがあり、これを購入すると配送料が無料になります。
また、DoorDashはOEMのロジスティクスサービスであるDriveを飲食店に提供しており、飲食店はDriveを使用して独自のチャネルを通じて注文を受けることができます。この注文ごとに手数料収益がDoorDashに入る仕組みになっています。
ビジネスモデルのお金の流れは下図の通りです。
市場開拓について
飲食店については、インサイドセールスとフィールドセールスを利用して開拓しています。消費者とDashersについては、オンラインおよびオフラインのマーケティングチャネルと紹介プログラムを通じて獲得しています。マーケティングチャネルは、検索エンジンマーケティング、ディスプレイ広告、ソーシャルメディア、ダイレクトメール、テレビ、看板などがあります。
2020年9月の時点で
・390,000を超える飲食店がプラットフォームに登録。
・1,800万人を超えるユニークな消費者が商品を購入。
・DashPassには500万人を超える消費者が登録。
・100万人を超えるDashersがプラットフォームを使用して収益を獲得。
市場戦略
DoorDashは、郊外市場とより小さな大都市圏に戦略的な焦点を当てており、米国における郊外のローカルフードデリバリーでトップシェアを誇っています。2019年の米国における食品と飲料の消費は15兆ドルで、そのうち6000億ドルがレストランやその他のフードサービスに費やされ、そのうち50%つまり3000億ドルは郊外で消費されました。DoorDashの2019年の総注文額は80億ドルでした。
競合について
ローカルフードデリバリーは細分化されており、競争が激しくなっています。米国においてDoorDashは、Uber Eats、Grubhub、Postmates、その他独自のオンライン注文プラットフォームを持つチェーン店、Domino'sなどのピザ会社、地元のフードデリバリーサービスなどと競合しています。また、フードデリバリー以外の領域に展開しようとする場合、AmazonやGoogleなどとも競合する可能性があります。とはいえ、2018年から2020年にかけてDoorDashは米国におけるシェアを順調に伸ばしています。郊外市場での市場シェアは58%とさらに大きくなっています。
株主(IPO前)
ソフトバンク・ビジョン・ファンドが22.1%のシェアを持っており最大株主です。その他、セコイアキャピタルやGreenview InvestmentといったVCが保有しています。
IPO前のシリーズ別の株価
DoorDashのシリーズHの資金調達は2020年6月に行われており160億ドルのバリュエーションでした。2019年に行われたシリーズGは127億ドルのバリュエーションでした。IPO前の株価推移は下記の通りです。
財務状況
コロナによる好影響もあり20年6月四半期の収益が前四半期比で86%増加しました。9月に終了した9か月間においてはキャッシュフローは黒字となっています。DoorDashは将来的に魅力的な成長を遂げ、キャッシュフローを生み出す可能性があることを証明しつつあります。
P&L(単位:百万ドル)
四半期ごとの総注文額推移(単位:百万ドル)
売上利益率とセグメント費用の割合
キャッシュフロー
DoorDashには現在、16億ドルの現金および有価証券があります。
DoorDashの株価については、UberやJust Eat、Delivery Hero、Meituanなどとの比較で見ると役立ちそうです。知名度や市場規模、将来の成長機会を考えると、注目に値するIPOとなりそうです。
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