寄り道こみち

少しずつ読んでいたエッセイがあった。
その人の本は6冊目で、小学生〜高校生までの日常を書いたものと読んだ本に関するもの。

文章がすっきりしていて頭に入りやすく、いつもならすぐに読み切ってしまうのだけど、6冊目はなかなか読み切ることが出来なかった。

前の5冊がとてもよくて好きだっただけに、この本もワクワク開いたのを思い出す。

しかし、何故かこの本は1年半も私の枕元にとどまることになる。

購入したのは前の前の仕事を辞めて少し経った頃。
うつが落ち着いてきて、この著者の本が読みたくなった。

でも、病気とは簡単ではなくて。
普段の生活はそれなりに出来るけど、何かを作ったり、それこそ本の様な長文を読むのはなかなか努力のいることだった。

調子が悪いと手にするのはスマホで、軽い記事を斜め読みする日々。
「読みたい本があるんだけどなあ」と思ってもやめられない。

それでもこの本はずっと枕元にあった。
少し調子が上向くと一編か二編は読めた。
毎日読むこともあれば、数ヶ月読まないこともあった。

この本を読むことについて、私は無理しないと決めた。
読むのに苦労した本という記憶を残したくないから。

そして今日、とうとう読み終えた。
タイトル通り「寄り道こみち」の読書だった。

この間に私は社会に戻り、短い期間でまた失敗した。
読書とともに、人生もまだ寄り道中なのかも知れない。

私は寄り道を終えた先、どこに進むのだろう。

なるようになるさ、と自分に言い聞かせ、今夜は眠ろう。




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