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鬼滅の刃のブームはマーケティング戦略でつくられたのか考察してみた
鬼滅の刃、映画【無限列車編】が記録的なヒットでブームはもうしばらく続きそうな予感ですね。
そんな鬼滅の刃のヒットっぷりは、どこまでが計算されていて、どこまでが時流に乗った結果だったのか。
戦略以外にファンに受けたポイントなどをマーケティングも微妙にわかるアニメおたくの観点から勝手に考察していってみます。
ちなみに内容やキャラにはあまり触れない、あくまでもマーケティング視点での考察です。
では勝手に考えたヒットした要素をあげていきます。
※アイキャッチはこちらのツイートから引用しています。
映画『鬼滅の刃』興収204億円突破🎊ハリポタ1作目「賢者の石」を超え歴代【5位】
— ORICON NEWS(オリコンニュース) (@oricon) November 9, 2020
▼歴代映画興行収入ランキングhttps://t.co/4PVZOVTFVB
日本歴代1位の『千と千尋の神隠し』308億円に迫る勢い。SNSでは「煉獄さん200億の男」がトレンド入り。#鬼滅の刃 #無限列車編 pic.twitter.com/7o9ir4f9Mb
①鬼滅の刃のヒットはある程度想定した上で準備を進めていた
正直、考察って言っても答えが大体書いてるよなって記事がこちらです。
アニプレックスの鬼滅の刃担当の高橋祐馬氏のインタビューです。
引用:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00364/00003/?SS=imgview&FD=1420927604
宣伝プロデューサーとして『化物語』『Fate/Zero』『アイドルマスター』を担当・・・猛者ですね。
プロデューサーとしては『鬼滅の刃』『はたらく細胞』『君の膵臓をたべたい』などを手がけられたそう。
うーん、アイマス以外は全部見ました。笑
アニメ化の打診はアニプレックスの高橋氏から集英社に、連載まもなくされたのだとか。
声優オーディションが2年ほど前だったので、アニメ化にこぎつけるまで2年ほどかかったんですね・・・。
②アニメ制作 ufotable、音楽 梶浦由記の約束された勝利の剣
記事でもアニメ制作会社のufotableについて語られていますが、私もufotableの作風はかなり鬼滅の刃とマッチしていると考えています。
鬼滅の刃は鬼が夜だけしか行動できないのもあり、見せ場となるバトルシーンはほぼ夜です。
そしてufotableの代表作の一つとも言えるFateシリーズも大体夜に戦う、ダークな作風です。
鬼滅の刃と比べても、戦闘シーンの全体的なトーンがめっちゃ似てませんか?
この「夜の光りまくる戦い」の画作りの美しさに定評があります。
さらにこのFateシリーズの音楽を手がけられている梶浦由記氏が今回、鬼滅の刃の音楽を椎名豪氏と担当。
梶浦由記氏の曲はオーケストラの荘厳な音楽に定評があり、Fateや空の境界、ソードアート・オンラインなどの「耐久BGM」がいくつも上がっているところを見ても、どれだけ音楽が愛されているかわかります。
そこにアニメ ゴッドイーターや十二大戦の音楽を手がけられた椎名豪氏が加わります。(竈門炭治郎のうたは椎名豪氏の作曲です)
ちなみにアニメ ゴッドイーターはufotableの制作でしたが、制作が間に合わず、1クール中に異例の4回の総集編を放送し(通常多くても2回)、全13話のはずが9話までしか放送されなかったという伝説のアニメでした・・・。
鬼滅の刃ではアニメ制作も音楽制作も、過去に協働したメンバーだったのもあのクオリティを実現した要素のひとつだっただろうと思います。
③映画【無限列車編】も含めて声優陣が実力者揃い
鬼滅の刃の声優陣はこの記事によると2年以上前にオーディションで選ばれたそうです。
https://www.fujitv-view.jp/article/post-213329/
オーディションってそんな前からやるんだ・・・さすがに声優さんたちも「まさかここまでブームになるとは」と思われているそう。笑
アニメ映画でよくあるのが「オリジナルキャラが出てきて、旬の芸能人が声をあててすこぶる微妙」という事件です。
ジブリがその根源という見方もありますが、大人の事情で芸能人を起用したい人が多いのも事実。(大手広告代理店とか)
しかし鬼滅の刃は制作が配給のアニプレックス(映画の配給は東宝も加わった)、出版社の集英社、制作のufotableだけの製作委員会だったので、クオリティを求めることに妥協しない姿勢は映画にもいかんなく発揮されていたと思います。
ここにTV局や広告代理店が口を出せる立場にあったなら、どうなっていたかわからないなと思ってしまいます。
やっぱお仕事はその道のプロに任せるべきですね。
④作者の吾峠呼世晴氏が謎に包まれている
記憶にも新しい、キングダム作者、原泰久氏の離婚からの小島瑠璃子氏との不倫疑惑。
「お騒がせして申し訳ありません」とコメントを発表したことがありましたが、一部のファンは「先生個人はどうでもいいのでキングダム頑張ってください」的なコメントを寄せていました。
お騒がせしてしまい、申し訳ありません。 pic.twitter.com/oAxbLZGbEw
— 原泰久 (@HaraYassa) September 3, 2020
作品に集中したい気持ちはめっちゃわかります。
作者や原作者が問題を起こして作品に影響するということは結構頻繁にあります。
アクタージュの原作者のマツキタツヤ氏がわいせつ事件を起こし、逮捕されたときは問答無用でアクタージュは打ち切られました。
アクタージュ、電子書籍で読んでたのでめっちゃ悲しい・・・。
デスノートの作画で知られる小畑健氏が銃刀法違反で逮捕されたり、るろうに剣心の作者、和月伸宏氏が児童ポルノ動画所持で書類送検されたりと人気作家でも問題を起こすことが地味にいろいろあります。
ベテラン漫画家だと、作家買いをするファンもいるかもしれませんが、一作目の新人漫画家は純粋に作品を評価しているファンが多いので、特に「作品に集中させて」というファンは多いはずです。
そこへきて吾峠呼世晴氏はどうやら女性らしい、九州出身らしいということ以外はほとんど謎で、ご本人も必要最低限の発信しかされません。
一説にはジャンプの編集長ですら会ったことがないという話も。(さすがに映画の試写とかには行ってるだろうし、それはないと思いますが)
プライベートが謎の女性漫画家という点も鬼滅の刃という作品が色眼鏡なしに見られるポイントだと考えています。
漫画家はある種、神秘性のある職業なので、よっぽど強いキャラなどが無い限り、顔出ししないほうが生活していきやすいのではと思います。
顔出しした漫画家で明確に成功している例としては、ジョジョの奇妙な冒険の荒木飛呂彦氏が一番わかりやすいでしょう。
引用:https://japan.cnet.com/article/35129132/
当時58歳でこの見た目・・・もう波動使ってるか生き血すすってるかどっちかしかない。
しかし荒木飛呂彦氏も日常をツイートしたりはしておらず、神秘性は未だ健在です。
神秘性ってのは着痩せと同じで、見えてる部分から勝手にそれに合うように想像してもらえるので利用しない手はないですし、多分ファンもその方が幸せな場合が多いのではないでしょうか。
⑤大体の動画配信サービスでいつでも見られる
これがコロナという状況下でブームになった、最大の要因だと考えます。
作品を見やすい環境をつくるため、異例の展開をする。通常の深夜アニメであれば4、5局で放送されるところを、何と20局と提携したのだ。「これだけ単局をつないだのは当社としても非常に珍しい」と高橋氏は話す。地上波放送だけでも人口カバー率は約70%以上。それだけで8000万人が視聴でき、BS/CS放送も含めれば、テレビのプラットフォームだけで日本全国の人が視聴できる環境をつくった。加えて、動画配信サービスも「契約できるところすべて、約20社と契約した」(高橋氏)という。
引用:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00364/00003/
私はリアルタイムのアニメ視聴組だったのですが、確かに19話の放映時はTwitterでもかなりツイートされ、バズってたなーと思いますが、まだこの頃は子持ちの専業主婦の従妹に聞いても「キ・メ・ツ・・・?」くらいの認知度ゼロ状態でした。
アニメ放映終了後、しばらくはTwitterで「しのぶちゃん生誕祭」など推しキャラの誕生日をファンアートで彩る的なイベントがちょこちょこあったくらいだと思います。
鬼滅の刃が深夜アニメや原作を見ない層の人達に広まってきたのは、やはりコロナでのstayhomeの時期ではないでしょうか。
【家ですること無いな→動画でも見るか→話題のアニメあるらしいよ→鬼滅の刃すげぇ!】みたいな流れの方も多かと思います。
この頃に先述の従妹はアマプラで鬼滅の刃にハマり、マンガも全巻揃えるに至りました。
そのstayhomeな5月に鬼滅の刃の最終回も重なり、もうヒトヤマ来たようなカタチになりましたね。(連載終了までスケジューリングされていたかはわかりませんが)
⑥ゾンビ化せず、スッキリ終わった
引用:https://twitter.com/kimetsu_off/status/1315940342173237248/photo/1
ジャンプあるあるとされるのが「極限まで薄めたカルピスのような延命処置」と揶揄される連載終了先延ばし戦法です。
あのドラゴンボールも、幽遊白書も想定していたラストより引き伸ばされたというのは有名な話。
最近のジャンプを読んでいないので、具体的な作品名はわかりませんが、有名なところではNARUTOやONE PIACEの巻数を見ているとさもありなんとも思えます。
そんな中、鬼滅の刃もゾンビ化するのでは?という懸念もありましたが、23巻を最後に終わることと相成りました。
この全部揃えても23巻というボリューム感も単行本が売れた要因の一つだったと思います。
もしこれが50巻だったら・・・ちょっと読むのに覚悟がいりますよね。
また、鬼舞辻無惨という根源の鬼が斃されたことで、物語としても後顧の憂い無くキレイにスッキリ終わりました。(未来エンドは賛否両論のようですが)
足りないくらいが丁度いい、は物語にも言えるのかもしれません。
⑦敬遠されていた映画を見に行く大義名分になった
引用:https://twitter.com/kimetsu_off/status/1314943771440631810/photo/1
コロナで「密になる」と避けられていた映画館。
実際は数十分で空気が入れ替わる設備があり、ソーシャルディスタンスを保つ映画館が多いので、差し迫った危険性を感じていなくてもなんとなく避けていた人も多かったのではないと思います。
「コロナなのに映画見に行くなんてって思われないかな」と思っていた方もいらっしゃったかもしれません。(私はそのクチです)
しかし鬼滅の刃の映画は「あの人気アニメの映画」ということで、かねてから楽しみにしていた純度高めのファンが最初に殺到し、その勢いを見て気になっていた人たちが動いたのでは?と思っています。
「あれだけ話題になってる映画だから見ておかないと」「みんな観てるから」ということで、映画館へ行く心理的なハードルも下がったのもあると思います。
つまり「久しく飢えていた映画に堂々と行ける」チャンスだったのです。
これだけ大勢の人たちが観ている映画なので自粛警察も叩きようがないですし、10月は「コロナと共存していこうか」とちょっと明るいムードも漂っていたような時期。
せき止めていた水が堰を切ったような勢いもあり、映画の記録的なヒットにつながったのでは?と思います。
もちろん、映画の内容も文句なしに良かったです。
作画も凄まじかったし、最初「変人やん」と思っていた煉獄さんに、終盤あんなに感情移入するとは思っていませんでした。
まとめ
こんな感じで、鬼滅の刃のヒットの理由を挙げていくときりがないのですが、所詮は結果論。
結果から要因を導き出したにすぎず「じゃあ第二の鬼滅の刃をつくろう!」というのは恐らく集英社にもアニプレックスにも無理です。
ただ、ひたすらにクオリティを追い求めるという愚直な姿勢が視聴者にも伝わった結果でもあると思います。
コロナ禍という特殊な環境も少なからず影響した部分もあると思いますが、そういう意味では「良いものをしっかり作り、伝える努力を最大限した結果」と言えるかもしれません。
そしてこの鬼滅の刃のヒットから学べることもあります。
無料のコンテンツ(アニメ)でファンを作り、単行本や映画でお金を落としてもらうという流れがしっかり機能している点です。
昔の映画はスピンオフ的な、本筋とは関係ないエピソードが多かったと思います。
映画を観ないと本筋についていけなくなると「映画の鑑賞を強要している」とでもクレームがあったのかもしれません。
しかし今回の映画はアニメを観ている前提で構成されているので、初見の人がついていくには少し厳しい内容ですし、アニメ組も映画を観ないと話を全部追えないようになっています。
ある意味「ちゃんと全部映像で見たかったらしっかり映画でお金を落とすように」と強要されているのです。
ですが「無限列車編を映画にしたら見れない人もいるでしょ!」的なクレームはほぼ目にしません。
無料で視聴できていたアニメに価値を感じ、映画は「お金を払う価値のあるコンテンツ」として認知されたということです。
ここにサブスクなどで疲弊したコンテンツビジネスの活路があるように思います。
鬼滅の刃は単行本23巻中、8巻までを映像化しました。
アニメの第二期はほぼ確実にあるでしょうし、これからアニプレックスの高橋氏どんな手を打ってくるのか見逃せませんね!
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