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京都の劇団、「劇団三毛猫座」って?ビジュアルで振り返る過去公演、第2回。

劇団三毛猫座の過去公演を紹介していくコチラの連載、第2回目を担当させて頂きます、綾乃と申します。役者をしております。よろしくお願いします。

今回ご紹介いたしますのは、2019年8月に上演された第5回本公演『クロウゼットで晩餐を』。江戸川乱歩の小説を題材にした本作品は、三毛猫座の中でもとりわけ異彩を放っているのではないでしょうか。

あらすじ

芋虫、お勢登場、蟲、人でなしの恋、人間椅子。
1920年代から登場人物たちは、江戸川乱歩の小説の中を生き続けてきた。
物語とは異なる、性的倒錯を隠しながら。

トランスジェンダーの時子と須永、複数愛者のお勢、ピグマリオンコンプレックスの門野に、対物性愛者の佳子。
閉じ込められた物語の中、愛憎渦巻く、2016年。
乱歩の、パブリックドメインの年がやってくる。
エロス、グロテスク、ナンセンス。
乱歩独特の世界の中で、”クロウゼット”の住人たちによるいくつもの劇中劇で紡ぐ、新たな物語。

2019年8月24、25、31日、9月1日
studio seedbox(京都)

晩餐会に集まった乱歩の「子ども達」

江戸川乱歩の初七日に一堂に会した乱歩の「子ども達」。
そこで読み上げられた遺書の内容は「この中に人を食べるモンスターがいる」という突拍子もないものだった。

『芋虫』の時子と『お勢登場』のお勢

乱歩の小説という枠組みの中で、己に与えられた「役」を演じてきた登場人物達。それぞれの小説から抜け出た先で、ひた隠してきた欲望があらわになっていく。

『人間椅子』の登場人物、佳子と椅子

『人間椅子』の登場人物、佳子と椅子。
作家である佳子は、今まで満たされなかった己の創作欲を暴走させる。

舞台美術

舞台美術
床に散らばる原稿

舞台に足を踏み入れると目に入るのは、張り紙で埋め尽くされた壁。原稿が散らばった床。そして中央に陣取る長持。車椅子も手作り。美術さん渾身の作品です。

壁を埋め尽くす新聞と小説

壁を埋め尽くす紙、紙、紙。江戸川乱歩の小説のページと古新聞。絶妙な色合いの違いが趣深いです。全体のバランスを見ながら皆でせっせと貼り付けました。貼られた紙面に『芋虫』『お勢登場』など、自分が演じる役の本家のタイトルを見つけると嬉しくなっちゃう役者たち。

ぶら下げられた台本

ぶら下げられているのは、佳子によって書かれた晩餐会のシナリオ。

長持から顔を覗かせる芙蓉

一見机にも見える長持は物語の重要な装置。蓋を開けると人ひとりは優に入れるほどのスペースが。
ひょっこり顔を覗かせているのは『人でなしの恋』の人形………のフリをした『蠱』の登場人物、芙蓉。

長持

しっかり、がっしりした作りで、蓋を開けるのにはちょっぴりコツが必要です。長持の内側にもビッシリと小説のページが。こだわりポイントです。

照明

鮮やかな照明
鮮やかな照明

赤、緑、紫、青。強烈な色彩が晩餐会のシーンを彩ります。
毒々しいまでの極彩色で包まれる舞台。鮮烈です。

寂しげなスポットライト

打って変わって、寂しげなライトの下で語るのは、乱歩の弁護士を名乗る女。彼女はこの物語で「朗読」という役割を与えられています。

衣装

『芋虫』の時子の衣装

模様・質感の異なる布を繋ぎ合わせた、色鮮やかなパッチワーク。
衣装を手掛けてくださった山下彩さんのセンスが煌めいています。

『芋虫』の須永の衣装

『芋虫』の須永はボディラインが特徴的なロングドレス。
ヴェールとメイクがミステリアスですね。

『お勢登場』のお勢の衣装

『お勢登場』のお勢は、他の皆さんがしっかり布に包まれている中では比較的薄着。パフスリーブが素敵です。

『蟲』の芙蓉の衣装

アーティスティックさを際立たせている硬質な白いパーツは、キャラクターによって形状が異なります。

最後に

ビジュアルで振り返る『クロウゼットで晩餐を』、いかがでしたでしょうか。
私はお勢役で参加した本作ですが、登場人物の複雑な内面を自分の中に落とし込むのに、随分苦労した記憶があります。

ちなみにコチラ↓は連載1回目の記事です。
劇団三毛猫座にご興味持っていただければ嬉しいです!

次回は、おゆきちゃんこと、宮本結妃が担当いたします。お楽しみに!

『芋虫』の時子の衣装
『芋虫』の須永の衣装
『お勢登場』のお勢の衣装
『蟲』の芙蓉の衣装


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