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創作 短編小説たち

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2020年7月の記事一覧

フィナーレ

フィナーレ

最後の日の朝、消え入りそうな体を起こして、彼女は髪の毛をとかし、化粧をした。

いままでで一番しずかな朝だった。
透けるカーテンを見つめながら、彼女は「光の粒子の、一粒ひとつぶまで見えそうね」と言った。

すべての準備が整うと、彼女はコップ一杯分の水をのみ、リュックを手に取った。
まっすぐに玄関へ向かう。
靴箱を開ける音、靴を落とす音、
つまさきを交互に鳴らす音。
ぼくは音の方へ近づく。

彼女は

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