日常を綴ることが
愛しい記憶たちを縫い合わせて、大きな毛布をつくりたい。未来の私が悲しい気持ちになったとき、その毛布にくるまって眠れるように。
星野源さんが1月2日のオールナイトニッポンを収録放送から急遽生放送に切り替えていた。不安な気持ちでいる人たちが、少しだけでもひとりじゃない気持ちになれますようにと。生放送では超個人的でくだらないメッセージがいくつも紹介されていて、源さんは「こんなの読ませないでよ、くだらないなあ」とたくさん笑っていた。
同じ日に「PERFECT DAYS」を観た。好きなタイプのvlogみたいだと思った。ひとりの男の生活を眺めていたら、緊張しきっていた心が、じわりとほぐれた。
昔からvlogが好き。好きなvlogはどれも共通して、日々の小さなときめきを見逃さないぞ、という静かな意思を感じる。
ここ数年ずっと見ている、大好きなvlogがある。ニューヨークで暮らす女性がyoutubeで投稿しているvlog。
彼女がいつからニューヨークで生活しているのか、何歳なのか、どんなキャリアを経て今があるのか、そういうのは何も知らないけれど、とにかく彼女が切り取る何気ない日常の風景が好きで好きで仕方がない。
彼女のvlogに映るニューヨークは、どんな季節でも美しい。ご家族との何気ない日常、日々の食卓、朝のコーヒーを淹れる様子。すべてからあたたかな温度が伝わってくる。
「PERFECT DAYS」のコピーじゃないけど「こんな風に暮らせたらなあ」といつも思う。こんな風に、日常に小さなときめきを見つけられる人でありたいなあと。
https://www.youtube.com/watch?v=lLSrI_Lb0HU
年末、彼女が動画の中で視聴者に1年間のお礼を伝えると共に「たまにネガティブなメッセージを受け取る」と吐露していた。
そして「子どもと過ごしているときは動画を回す余裕がないから、必然的にひとりの時間に動画を回すことが多くなるのだ」と説明した上で、「動画にトイレに行く場面が出てこないからといって、私がトイレに全く行かないと信じる人はいないのに。」と話していた。
vlogは「彼女」と「私たち」の間に置かれるもので、彼女のそのものでも、ニューヨークのすべてでもない。悲喜こもごも色々な出来事があるだろうけど、彼女は暮らしの中に転がる小さな喜びや美しさをvlogに詰め込んでくれる。
彼女の動画を再生するときはいつも、その小さな喜びがいっぱい詰まった缶を開けるような気持ちになる。
なんとなく冴えない日だって、彼女のvlogを観ていると、ちょっとお腹が空いてきたり、お散歩に行きたくなったり、結局は何も出来なかったとしても「明日は良い日にしよう」と思えたりする。
彼女が日常を楽しめば楽しむほど、遠い国の誰か(わたし)の心はじんわりあたたまる。
上手く言えないけれど、私が日常を綴りたいと思うのは、そういう体験があるからかもしれない。
前にも書いたけれど、私の言葉が知らない場所で知らない誰かと「目が合う」ことがあったら、それはとても素敵だなと思う。
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年が明けて、心が苦しくなるようなことが起きて、どうしたって色々なことを考えてばかりいてる。
募金したり祈ったりしながら、今だけじゃなくいつだって、何も出来ずに遠くにいるばかりなのだと気付いて悲しくなるけれど、生きている限り全くの無力ではないのだから、足も手も心もしっかり動かす。
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