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長蛇のレジ待ち 神対応だったレジのお姉さん

みけ子が時々買い物に行く場所がある。仙台駅前の朝市という昔からある、個人商店が連なった市場だ。野菜や魚介類が新鮮で安い。元気な売り子のお兄さんの威勢の良い呼び声も活気があって好きだ。

季節の果物とかお刺身を買いたい時、みけ子はその朝市に買い物に行く。

その朝市の中に、仙台では有名な果物や野菜を扱っているお店がある。そのお店は市内のあちこちで店舗展開していて、美味しい果物を売りにカフェも経営していたりする。果物のイナガキ(仮名)は地元の有名店である。

その果物のイナガキは朝市の中では唯一、店舗面積を広く取りスーパーマーケットのようなカゴを持って品物を選んで歩くタイプのお店で、1ヶ所で野菜や果物の買い物が全部済ませられるので、いつもレジは長蛇の列なのだ。

レジの列は混乱しないように、並ぶ場所の床にガムテープを貼っていたり、店員さんが気を配って出来るだけレジ列が早く会計を済ませられるように配慮はなされている。

ある時、みけ子はその果物のイナガキで野菜や果物をカゴに入れてレジ列に並んでいた。その時も列はなかり長くて、それぞれの客は自分の順番が来るのを並んで待っていた。

レジが進み、あと2人でみけ子の順番が来るという時だった。みけ子の前に並んでいた男性にある女性客が「ごめんなさい、急いでるから先に会計させてもらっていいかしら?」と列に割り込んで来た。

声を掛けられたのは、初老の男性でずうずうしいおばさんの申し出を文句もいわすに受け入れて自分前に入れてやった。

しかし、長蛇の列で待っている他の客はそのおばさんの行動を苦々しく見ており、レジ担当の店員さんも「あ〜、皆さん待っているんですから最後に並び直して下さい」と注意したのだ。だがおばさんは泣きそうな顔で「いえ〜、でもぉ、急いでいるんですぅ……」と抵抗する。

横入りしたおばさん、例えば一見して身体が不自由であるとか、年取ってヨボヨボの老人とかであれば列に並んでいた他の客もそれを許したんじゃないかと思う。

だけどその横入りのおばさんは、全くそんな感じには見えない。急いでいるし、早くレジを済ませたいのは皆んな同じだ。

そうやって列に横入りするような人は、結構狡くて横入りを許してくれそうな、人の良さそうな人を選んでそういう行動に出る。だから決して、みけ子のような一見して小うるさそうなおばさんの前には横入りなどして来ない。

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もしも仮にみけ子に「急いでいるんで」とか言われても断固拒否だ。待っている、急いでいるのはここに居る全員同じなんだよ〜。

レジのお姉さんは注意しても聞かないそのおばさんの会計を手早く済ませた後、「皆さんずっと並んでいるんですから、後ろに並んで居る方たちに一言謝って下さい❗️」と毅然として言い放った。

それでその横入りおばさんは(仕方なくだろうけど)「すみませんでした」と謝ってからその場を逃げるように去った。

そんな場所での実はよくある事なのかも知れない横入りを、その場でそこにいる人たちに納得してもらった、その店員さんの手腕は大したものだと思う。

例えば、その場でそのまま横入り客を見過ごしたら後からお店にクレームが来てもおかしくない。お店の評判は落ちる。でも無理やりそのおばさんの会計を後回しにしたら、自分の前に順番を譲った男性のメンツを潰すことにもなりかねない。また、そう言うズルく立ち回る人は、自分の都合の良いように事実をねじ曲げてお店の評判を落とすような話を周りに吹聴するかも知れない。

そんな場面を咄嗟にさばいて、レジ打ちを続けたそのお姉さん(30代位)、みけ子はレジの順番が来た時に思わず「お姉さん、さっきの対応、ナイス❗️ナイスでしたよ❣️バッチリでしたね💖」と声を掛けた。声をかけられたお姉さんも照れながらもニコッとしてとても嬉しそうだった。

みけ子は文句も言うが、良い対応や似合う服を上手く選んで着ている知人などにはほんのちょっとでも褒め言葉を言う。駐輪場の空きを探している人には「**番はこれから空きますからどうぞ」と言葉をかけるようにしている。

褒め言葉やほんのちょっとの親切は言われた方も、言った本人も両方を幸せにするから。

人は言葉を持って生きている。その言葉を上手く活かさないのは人間としてもったいない。適材適所で褒め言葉や幸せを感じる言葉を、スマートに発して行けるようになりたいと思っている。




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