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公務員だった父と箱いっぱいのサンマ(これって収賄罪?)

父が亡くなって数年経つ。その父は生前、公務員だった。年金関係の仕事をしていて、退職後は年金専門官として嘱託で週に何回か働き続けていたようだ。昭和の時代の公務員の父は、結構呑気に仕事していたんではないかと想像する。

両親がまだ存命だったある時の事。おそらくみけ子が20歳前後の事じゃないかと記憶する。両親はどこかに旅行に出ていた。自分は一人で留守宅にいた。よくある事なのでどこに出かけたとかはほとんど気にしていなかったと思う。

その留守番みけ子が家にいたら、前触れもなく大きな箱の宅急便が届いた。宛先は父の名前だった。大きな白い発泡スチロールの箱で開けてみると中には、

箱一杯の生サンマが‼️

ピカピカの生サンマが発泡スチロールの箱にぎっしり❗️

うっそ〜、どうすんのこれ???両親はあと2日程しないと帰宅しないはずだ。この箱いっぱいの生サンマ、どうしたらいいんだ?

その頃、両親はしょっちゅうどこかしらに旅行に出ていて月の半分も家に居なかったのではないか。あまりにあちこちに出かけて歩くもんだから、いつどこに出かけるかなんて、みけ子はいちいち覚えていなかった。しかし、玄関先にある大量の生サンマをこのまま放置する訳には行かない。

茶の間のテーブルの上には、(多分)行き先を知らせる為においたのだろう、パック旅行のパンフレットが乗っていた。ひとまずここに電話してどうするか聞こうと、ホテルに電話をした。幸い、宿泊していた両親に連絡が取れ、滞在先から近所の人多数に母は電話を入れたみたいだ。「サンマがたくさん届いたから貰いに行って〜❗️」とでも伝えたのだろう。

留守宅のみけ子の所に近所の人たちが多数駆けつけてくれ、大量のサンマは無事にそのご近所さんに引き取られて行った。後は帰宅後に家族で食べる分が数匹あればいい。家族分を数匹残して、サンマが入っていた発泡スチロール箱は見事に空になった。あ〜良かった❣️

サンマが入っていた箱には、気仙沼の人の住所と名前が記載されてあった。どうも父が仕事で気仙沼に行った時に知り合った人らしい。

なんでもその頃の父は、年金専門官という肩書きで、県内の市町村に週に数回出張に行き窓口に相談に来た人の年金の相談を受けていたらしいのだ。その人の生年月日から、年金をかけた履歴を調べ必要な手続きをする。すると手続きをした分の年金が増額して振り込まれる。年金とか行政からの支給金は、キチンと自分が手続きをして請求しないと貰えないのだ。

どうも後から聞いた事によると、年金の相談員として気仙沼に行った父に年金の相談をした人が、支給されると思っていなかった年金がプラスになって支払われることになったらしい。それへの感謝の気持ちとして送られた生サンマだったけど、考えたらそれって収賄罪なんじゃなかろうか?

何事もゆるい昭和な考え方で、ご近所さんに電話を掛けたらサンマを受け取ってくれる親しい人が沢山いる。人の助け合いやご近所さんとの付き合いも、まだ濃密だった頃の事だ。

父が亡くなった後、年金関係の手続きに窓口に行った。名前と生年月日を伝え必要な書類を揃えて出すと死亡後も未支給の残りの年金が相続人であるみけ子が受け取れる事になるのだが。その窓口で言われた事。「お父様はお若い頃、公務員になる前に何年間か一般企業にお勤めされていた事がある様ですね。それも請求があればお支払い出来るんですが」えっ?そんな事聞いた事もないわ。年金の仕事をしていた本人さえ生前忘れて未請求だった年金だ。結局、その企業の名前が全く分からず、未支給の年金は支払われる事はなかった。

もしかして父は、年金の相談に来た人が未支給の年金をちゃんと受け取れるよう、ウッカリ間違えたフリして、相手にヒントを出したり教えたりしたのではないか。だって相談に来ている本人は目の前にいるし、本人確認も書類でしっかり取れているのだ。未支給の本人がかけた年金をここで支給する手続きをしても、父本人の懐は全く痛まない。父の日頃の性格を考えるとどうもそんな気がしてならない。

何事もおおらかで公務員のコンプライアンスなどしっかりしておらず、緩かった時代の出来事(とみけ子の想像の話)だ(笑)



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