【ショートストーリー】「猫様のお付き」

ある日、我が家に突然、俺の猫のお付きになりたいという人物が現れた。

「こちらの女性を一目拝見しまして、是非お世話をさせて頂きたく参った次第でございます」
どうやらこの人は、うちの横を通りかかる時に、窓辺にいた猫を偶然見つけ運命(?)みたいなものを感じてしまったようだ。
「こちらのお嬢様のお世話を、是非!」
「そうは言ってもうちの猫がなつくか……って……早っ!」
うちの猫はこの人が来て早々に足に体を擦り付けていた。
「可愛らしい……。可愛らしゅうございます……」
そう言って涙ぐんでいる姿に、俺はノーと言えなくなってしまった。
「じゃあ……、まずは数時間だけ来てもらうっていうのはどうですかね……?」
「はい!喜んで」
そうして、この人は次の日からうちに来ることになった。

「可愛いらしい……水滴がお髭に付いてらっしゃる……この姿、お茶目&キュート!!」
「いつものことなんですけどね……」

「そんな風に横になって、上目遣いで……。そんな風にされたらどんな男も一秒でお嬢様を好きになってしまいますわ……。あぁ……罪深いお嬢様……」
「よくやるんですよ、これ……」

なんかこの人、猫の行動の一挙手一投足に反応してる。
そんなに反応しなくてもって最初は思ったけど、俺にとっては当たり前になってしまった行動も、この人にとっては新鮮で、俺はそういうの忘れてしまってたのかもしれないな……。
この人がうちに来たことも、なにか意味があるのかもしれない……。

「お嬢様のお体の模様、本当に素敵です~!唯一無二!
こんなお洒落なんて、パリコレもビックリですわっ!!」

……まぁ、ちょっとウザいけど……。


✨猫と人間が出てくるショートストーリー書いてます(短編集)↓

「猫と人間」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/180758681/985388773



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