カリブ海/象徴としてのサンマルタン島06-島を散策しながら温故する
見出し画像

カリブ海/象徴としてのサンマルタン島06-島を散策しながら温故する

セントマーチン島には、JFKからDELTAで入った。僕らの結婚記念日に充たるということで、娘二人も一緒に行くことになった。
ホテルはフレンチサイドに娘が予約した。
セントマーチン島はオランダ側とフランス側に別れている。JFKからの飛行機はオランダ側に着く。飛行場からはチャーターしてあったクルマで向かった。車上40分くらいだろうか。セントマーチンは意外に山深い。フレンチ・サイドに行くには山並みを抜けていくことになる。
道は細い。運転手に聞くと、ルートは限られていて道の数は少ないそうだ。町を出ると、ほとんど信号らしきものには出会わないままホテルに到着した。
セントマーチン(サンマルタン)は1502年の航海でコロンブスが"発見"したしまである。コロンブスはマルティニ(発見)と名付けた。しかし移植はしなかった。すでに大アンティル諸島から移植は始まっていたからだ。
セントマーチンは山深い。その山を伐採してサトウキビ畑を作るより。もっと楽に開墾できる島が幾つもあったからだろう。幸いなことにセンサマーチンは放置された。おかげでこの島の先住民は1600年代まで生き残ることが出来た。

荷物を解いてから、娘たちと家内そして私の三人で、村をそぞろ歩いてみた。歩いている人はいかにも観光客らしい人ばかりだったが、どうも地元の人向けらしいバーが通り沿い有って、そこにタムロしているのは現地の人ばかりだった。彼らは我々を見もしない。自分たちだけで談笑している。観光客も彼らを見ない。家内が言った。
「ずいぶん黒い人たちばかりね。この島の人たちは漆黒な人が多いの?」
「うん。そう言えばそうだね。連れてきたアフリカ側の海岸に何か偏りが有ったのかもしりないな。」
「アフリカ側?この島の原住民じゃないの?」
「いや、ちがう。カリブの先住民は殆ど全滅している。この島に住んでいる人々は、後からアフリカの奴隷市場で買われた人たちばかりだ。」
セントマーチン島へ本格的な白人たちが入ったのは1635年からだった。
最初に入ったのはアメリカ諸島会社だった。
彼らは海岸沿いに要塞を作り開拓を始めたが、すぐに先住カリブ族との抗争に巻き込まれてしまう。手を焼いたアメリカ諸島会社は1664年に西インド会社へこの島を売却している。
「この島に、最初に本格的なサトウキビ・プランテーションを作ったのは英国の西インド会社だ。」
「東インド会社じゃないの?」
「ちがう。西インド会社。インド洋太平洋側が東インド会社。大西洋側は西インド会社。」
「ジョニーディップが戦ったのは?」
「カリブ海だから、西インド会社。」
「そう・・」なぜか納得していた。ディズニーは偉大だ。
「でも、シンガポールが出てきてたわよね。あれは?」
僕は無視して話を続けた。
「西インド会社は、当初島の先住民を捉えて働かせていた。そのことで、先住民との諍いがずっと続いた。途中から西インド会社はアフリカ座右ゲ海岸で買った黒人奴隷にも働かせるようになったが、先住民との戦いは続いた。プランテーションの経営はそこそこ軌道に乗ったが、先住民のゲリラ攻撃に悩まされたんだ。」
「だって、もともとはその人たちの土地なんでしょ?」
「もちろん、そうだ。先住民からすれば奪われた土地を取り返すための戦いだった。西インド会社は彼らを根絶やしにしようとした。しかし途中で殲滅戦は無理と判断した西インド会社は、近くの島を彼らの占有地(実質的居留地)として用意し、先住民全てをセントマーチンから追い出す方向へ戦略を替えたんだ。」
「勝手ね。」
「ん。しかしこれも膨大な消耗戦になっている。。それでも何とか先住民族を島から追い出すことに成功するのだが、その頃には既に西インド会社は経営的な破綻を起こしていたんだ。」
「いい気味ね。」
「1674年、フランスのルイ14世が西インド会社の負債の一部を肩代わりする条件として、セントマーチンを手に入れている。その時からセントマーチンはサンマルタンさ。」
「ルイ14世って・・太陽王?」
「ん。そうだ。よく憶えているね。」
「ワイン飲むたびに聞かされる名前だから、憶えちゃったわ。」
「ははは♪すいません。偉大な経営者だからな。彼はこの島を手に入れたことをきっかけに次々と西インド会社が保有していたカリブの島々を自分のものにしているんだ。そしてカリブにおけるサトウキビ・プランテーションを自分のものにしたんだ。」
「だから、カリブ海で作られた糖蜜は大西洋側ボルドーに大量輸送されたのね。」
「おおお、そうなんだよ。ボルドーの西岸に幾つも製糖工場が作られて巨大産業が始まるきっかけは、この島から始まったんだ。」
「びっくりね。だからあなた、フレンチサイドに泊る。フレンチサイドのワインがきちんと揃えられるレストランへ行く、と言ってたのね。・・でもそんなレストラン、あるの?」
「ここはカリブだぜ。プライベートな島を持っている人たちがたくさんいるところだぜ。そんな人たちのためのレストランが、この島に会っても不思議じゃないと思わないか?」
「・・そうね。たしかにそうね。」

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
勝鬨美樹/銀座グランブルー

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました

ありがとうございます。これからも書き続けますので是非ご高覧下さい
1951年生まれです。ついに70の声をきく年になってしまいました。このnoteではワインを巡る歴史話。僕が子供の頃の東京下町のこと。青春時代に歩いた米軍キャンプとNYCの話。銀座グランブルーのこと。そして日々徒然に書き散らしたものなどを並べています。