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BRICS通貨がもたらす近未来

世界のFX取引は90%がドルによって行わています。人民元は7%前後。EUROは30%近くまで失速しています。いま、スポット、フォワード、スワップ市場における取引は、少なくとも85%ドルで行われています。金融の世界では相変わらず、ドルは疑似世界通貨ですね。大きな理由の一つは、オフショア資金調達市場で発行される国際債とクロスボーダー・ローンの約半分がドル建てなこと・・でしょうか?

にもかかわらず、2022年第2四半期の時点でドルが外貨準備を占める割合は60%まで落ちこんでいます。・・その「実」の部分でのドル離れが「虚」の部分である金融にも確実に反映されていくように僕は思うのです。
ではなぜドルが外貨準備金として必須ではなくなったのか。BRICS通貨の登場です。

例えばですね。米国は、どこかの国から何かを買ったとすると、米国は自国の輪転機で刷ったドルを使います。100ドルを作る経費は3ドル前後と言われています。
つまり100ドルは3ドルで産み出せる・・これが法定通貨の意味です。
実はですね。そのドルを受け取った国は、それをすべて使わないで貯めます。ドルを備蓄用として抱えこむのです。それが外貨準備金です。

外貨準備金を世界の各国は総額で12兆ドル保有しています。対外負債は30兆ドルあります。これは言うまでもなく米国が放出したドルです。帰ってこなければ、これほどいいことはない。
こうして刷って吐き出すだけの貿易赤字国を米国は40年間続けています。

ではその外貨準備金としてのドルを誰が持っているのか?
①中国3.3兆ドル ➁日本1.2兆ドル ③スイス9000億ドル ④米国7070億ドル(ドルではなくユーロ、ポンド、円、人民元)⑤ロシア6510億ドル(現在3550億ドルをFRBと米銀が差し押さえている)➅台湾5760億ドル ⑦インド5670億ドル ⑧サウジ4900億ドル ➈香港4230億ドル ➉韓国4160億ドルです。
気が付きませんか? この中でBRICS+でないのは(米国を除いて)日本/スイス/台湾だけです。

つまりBRICS通貨が機能し始めると・・残りの6カ国は次第にドルを外貨準備金から外し、BRICS通貨に替えます。・・おそらく早い速度で、ドルはポンドと同じ道へ進みます。ボンドは戦前は1000円だった。今は100円台です。1/10に下がった。
ちなみに・・ユーロ圏内の貿易は、既に各国の中央銀行から独立したユーロにて行われています。ドルは使っていません。同じ感じですね。BRICS+圏内の貿易はすべてBRICs通貨によって為されるでしょう。現在、世界の貿易は、ほぼ2/3がBRICS圏内で行われています。これがすべてBRICS通貨になる。・・どう考えますか?
そうはならないという論拠をぜひ教えていただきたい。 

2024年からロシア、中国、インド、産油国、東南アジアが共通通貨としてBRICS通貨をもてば、各国が所有するドル(外貨準備12兆ドル+ドル債)は激減します。欧州も米国と貿易するためにドルを使います。したがって欧州各国も保有するドルは激減します。

日本はどうか? 1年間で約20兆円程度のドル買い増し(つまりいつものように経常収支の黒字分を買い増し)は今後ともするでしょうね。
しかし米国はどうしても1兆ドル/年程度は経常収支で稼ぎたい。1兆ドル/年のドルが欲しい。例えば、これを日本が背負うとすると・・経常収支黒字分20兆円を全て突っ込んでも、1/7程度しか埋められない。無理ですね。したがって台湾、韓国、ECBが寄り集まって支えることになります。そしてFRBです。FRBは買い支えるためにドルを増発/希釈します。
僕は(キッシンジャーに説得されて)トランプが大統領になろうと決心した理由・・ドルの価値を1/2へする方向。。必然的にそちらへ進むと思います。
もちろん、そう簡単ではない。時間はかかります。
しかし、かかったとしても5年程度でしょうね。ユーロもそのくらいで整備されました。実際問題、それほど時間がかかるとは思えないのが僕の本音です。BRICS通貨は実際に札束にはしない。それにSDRのように国際通貨です。一般流通は稀です。
従って現ドルの失速は、きわめて早いと僕は見ます。
現ドル?新ドルは??・・まだ判りません。
FRBから離れた政府発行の新ドルの可能性は、きわめて現実的にある・・と僕は思う

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました