ウクライナの借金を日本が連帯保証人になった(@0@)#02
今回、IMFは「戦後支援金」という名目でゼレンスキーに日本政府の連帯保証人つきで15億ドルを出した。
なるほど・・「戦後支援金」ね。戦後、ウクライナは何をビジネスのコアに置くのか?間違いなく農業だろうね。
ではアメリカ・ウクライナビジネス評議会を見てみよう。
現在の理事会メンバーは、世界最大の民間穀物・アグリビジネスの巨人・カーギル。特許を取得した遺伝子組み換え種子や殺虫剤ラウンドアップを所有するモンサント/バイエル。デュポンとダウ・ケミカルズの巨大な遺伝子組み換え作物フュージョンであるコルテバ。穀物カルテルの巨人・ブンゲとルイ・ドレイファ。そして大手農機具メーカーのジョン・ディアである。彼らからどんな「戦後復興」が起きるのか・・僕は考えてしまう。
・・ここに名前が列挙されているアグリビジネスだが・・なぜ僕は考えてしまうのか?
彼らはシード・ビジネスである。より高い収穫率を得るために、彼らの使う種は子を産まない。一代で消えてしまうのだ。つまり農家は毎年彼らから種を買うしかない。彼らが種の供給を拒否すれば・・畑は死滅する。それでも農家は高い収益率を得たいために彼らの種を使う。
彼らの売る種に「食べるための麦・植えるための麦」はないのだ。
1991年にウクライナがソビエトから脱退したとき、僕はドイツのプラント設備屋で働いていた。
あの時のことはリアルタイムでよく憶えている。
僕が務めていた企業がオデッサの製粉工場のリニュアルを請けたのはチェルノヴィリの直後だった。仕事は・・まるで鉄屑と戦うような修理で七転八倒した。しかしウクライナの人々にはとても馴染んだ。
その時に何人ものコルホーズ経験者に出会った。彼らはコルホーズ崩壊後、それぞれに小さな農地を与えられた人だった。純朴なしかしある意味偏屈な・・典型的な東欧の農民たちだった。
あのとき、ウクライナにはどれほどの生産サイズがあったのか・・いまさらながら調べてみると‥畑は凡そ10,000万エーカー。そのうち農民たちに分配されたのは8,000万エーカ。これを700万人のウクライナ人が所有した。残りは国有だった。ソビエトは貧しさだけをあの国に残して去って行った。
僕はそのど真ん中で、あの国へ降り立ったのだ。
オデッサの工場は、彼らの麦を製粉するための工場だった。
「俺たちの土地を狙う奴らが無数に集まってきたんだ」と、ある時ある人が言った。彼らを食い物にしようとしたのは外国の(英米の)アグリビジネスの連中だった。モンサント社(現在はバイエル社の一部)、デュポン社(現在はコルテバ社の一部)、カーギル社(米国を寡占している)たちだ。
当時のウクライナ政府は、こうした外資の買い占めに対抗して、厳しい規制を付けた。にもかかわらず蚕食は続いた。
台頭してきたオリガルヒたちが、それぞれの小さい農家に甘い誘いを振って農地を貸与あるいは買収して、その地にモンサント社、デュポン社、カーギル社の技術を織り込んだのである。・・たしかにウクライナ政府のいう通り、農地は外資のものにはならなかった。しかしアグリビジネスから金を受け取った新興オリガルヒのものになっていったのである・・・あのとき、オデッサの工場で聞いた「俺たちの土地を狙う奴らが無数に集まってきたんだ」という言葉の「奴ら」は外資ではなかった。外資の思うがままに動く同国人だったのでふる。僕はオデッサを去った後も彼の言葉が心の底から抜けなかった。ウクライナの動向は気になったままだった。
そしてマイダン革命である。ウクライナは一気に外資アグリビジネスたちが跋扈する国となった。
いつの間にか消えてしまった米国農務省が出したレポートによると、2016年末でウクライナの大豆の約80%、トウモロコシの10%が外資アグリビジネスが提供するものだったとある。
なぜそこまでウクライナの農家は追い込まれたのか? IMFである。IMFは韓国に使った手をウクライナでも使ったのだ。IMFはウクライナ政府へ170億ドルの融資の条件として、個人所得税を66%に引き上げること、天然ガス代など光熱費を50%にすることを要求した。そして厳しい年金カットと社会的緊縮財政を強いたのである。その締め付けが"外資"に寄りかかることを強要した。こうしてカーギル/モンサン/デュポンは堂々とあの国を跋扈するようになったのだ。
そしてマイダン革命である。クーデターの首謀者アルセニー・ヤツェニュク首相はオノレの閣僚に臆面もなく外国人を招いた。財務相/経済相はアグリビジネスの傀儡だった。それを指令したのはアメリカ国務省のビクトリア・ヌーランドとジョー・バイデン副大統領だった。・・なんという・・なんという・・経緯か。腐敗は止まることなく増殖した。より深くウクライナの人々を食い尽くすために事態は動いた。
イーゴリ・コロモイスキー Ігор Коломойськийをご存じだろうか?ヴォロディミル・ゼレンスキーの飼い主である。
彼の仕掛けでゼレンスキーはTVドラマで、一高校教師が一念発起しウクライナ大統領になる役を演じた。このプロパガンダは見事に成功した。80%の指示率でゼレンスキーは当選し、2019年に本当の大統領になってしまった。
ゼレンスキーの最初の仕事は、メディアの統制だった。政敵を/コロモイスキーの商敵を潰した。そして2001年に締結した「外国人土地所有者禁止」例を排除することだった。人々はこれに反対し、ゼレンスキーの人気は一気に20%までに落ち込んだ。已む無く彼は、外国人に土地の買い取りを完全開放するのではなく「法案第2194号」に変更した。これは国内企業なら売買は可能という法律だった。
では・・ここで云う「国内企業」とはなにか?実は、ウクライナで起業した外資が三年以上経てば国内企業になる・・という罠を同時に仕込んだのである。そしてもう一つ。この改正案には「土地の使用目的を耕作地から商業地へ簡単に変更できる」という罠が仕込まれていた。つまり外国資本はその土地が農地用でなければ変えてしまうという仕掛けだ。買ってしまってから農地として再利用することは可能だ。
いま、バイエル、モンサント、コルテバ、カーギルの3社は、すでにウクライナの優良黒土農地1,670万ヘクタールを支配している。
ウクライナで見るべきはプーチンとアメリカ政府の他人の命をネタにした金融ゲームではない。彼らアグリビジネスが世界最大規模の農地を占有することなのだ。
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました