閑話夜話16/大行は細謹を顧みず
史記は範例の宝庫だ。
此処では司馬遼太郎の『項羽と劉邦』に触れよう。
司馬遼太郎は、この書で不世出の武人・楚の項羽と、不器用だが部下に恵まれた漢の劉邦を対比している。経営者が須く敬読すべき本だ。
その中の一大イベントである鴻門の会の中に「大行不顧細謹」という樊噲の言葉がある。彼のこの諫言によって劉邦は死線を越えた。細謹に走れば劉邦は癈いていた。重い言葉だ。
僕は人の上に立つ者に言う「細謹に拘れば大行を為さず」
使った金を数える暇があれば、それを凌駕する稼ぐ手立てを編み出せ・・と。指導者は「大行」を先ず見つめよ・・細謹は下の物に任せよと。部下に恵まれた劉邦は任せられた。
しかしだね、実は細謹に塗れるのは"快感"なのだ。だから往々にして無能な指導者はその穴倉に逃げ込んでしまう。鴻門の会の章で樊噲が諫言したのはまさにそれなのだ。
司馬遷の教えはいつでも刮目すべきことばかりだと僕は思う
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました