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短編小説 旅人と村人

 昔、とある村にみすぼらしい格好の旅人が来た。旅人は村人たちに旅の話を大いに聞かせ、村人たちは外の世界に思いをはせた。村人たちは話のお礼にと旅人に一夜の宿を与え、食事を振る舞った。食事もそろそろ終わる頃、旅人は飯にシチューをかけて食べ始めた。

村人たちは震撼し、旅人を蛮族だと言って追い出した。

 数年後、村に普通の格好をした旅人が来た。旅人は宿を求めてわずかだが金を出し、持っていた楽器で聞いたこともないような音楽を奏でた。村人たちは音楽を大いに楽しみ歌い、踊りお礼にと旅人に一夜の宿を与え、食事を振る舞った。食事もそろそろ終わる頃、旅人は飯にシチューをかけて食べ始めた。

村人たちは動揺しつつも翌朝旅人を送り出した。

 また数年後、村に豪華絢爛な旅人達が来た。旅人達はこの村で一夜を明かす代わりにと村人たちが腰を抜かす程大量の金を出し、村人たちを食事に招いた。食事もそろそろ終わる頃、旅人達は飯にシチューをかけて食べ始めた。

村人たちは、自分も飯にシチューをかけて食べた。

 さらに数年後、村に旅人が来た。以前の旅人で豊かになった村人たちはこの旅人に宿を与え、食事を振る舞った。食事もそろそろ終わる頃、村人たちは飯にシチューをかけて食べ始めた。

旅人は震撼し、村人たちを蛮族だと言って逃げ出した。

Thank you for reading to the end. The support you receive will be used as an activity fee. 通訳「私利私欲のために使うお金が欲しいそうです。」