マガジンのカバー画像

ものかきものがたり

8
物書きになりたかった―― 田舎の愚かな少年が、そんな妄念にとりつかれ。故郷を飛び出し、上京してもがいて迷って絶望して立ち直ってまた迷って。しまいには「不肖の私」たる物書きになるま…
運営しているクリエイター

#自伝的エッセイ

ものかきものがたり・7行め:「接近」

いつもと同じように、印刷工場でのアルバイトに出て。確か、季節は5月頃の週末。 夏と冬の繁忙…

菅沼恭司
2週間前
29

ものかきものがたり・6行め:「邂逅」

日雇いの倉庫作業にも、行かなくなった青年は、東京で無為な日々を過ごすだけの無職の男に成り…

菅沼恭司
3週間前
32

ものかきものがたり・5行め 「活計」

上京して、初めての引っ越し。中野から逃亡する、一人ぼっちの引っ越し。 あの夜、喫茶店の常…

菅沼恭司
1か月前
28

ものかきものがたり:4行め 「方便」

バブル期初頭。 上京し、東京某アニメ学院シナリオ科に入学した愚かな青年は。そこで、物書き…

菅沼恭司
2か月前
32

ものかきものがたり:3行め 「東京」

物書きになりたい。 未来への展望でも、未来への夢ですらもない。ただの妄念じみた空想、逃避…

菅沼恭司
2か月前
25

2行め:「上京」

旅立ちの朝―― よく使われる表現ではあるが、私の場合。愚かな青年の上京、その旅立ちは夕暮…

菅沼恭司
2か月前
18

1行め:「故郷からの逃亡または流浪のはじまり」

「物書きになりたい」―― 思春期の愚かな子供の心と脳髄を支配したその妄念。夢などではない。愚かな妄念そのもの。未来への展望もなく、何かを実現させるための能力も知力もないガキの思考思想を支配してしまった妄念。 「物書きになりたい」―― アニメを作ってみたかった。彼を狂気じみた高揚でときめかせていた、当時のTVや劇場、OVAのアニメーション作品。だが、これを書いている今と違いインターネットも情報も何もなく、どうすればアニメ業界に入れるのかもわからず。 漫画を描いてみたかった。

0行目:「今思えば」

某日、あるテキスト作業の打ち合わせの合間に―― T氏「そういえばさあ。なんで、また。物書き…

菅沼恭司
7か月前
23