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仕事をしているすべての人に、人間であることを忘れさせてしまう恐怖の言葉

私は、人間だ。

そんなの疑ったこともない。私は生まれてこの方ずっと人間だ。
そして、今は、働いている社会人二年目になった人間だ。
でも、たくさん使っていると、自分が人間であることも、他の人が人間であることも忘れてしまう恐怖の言葉がある。

私は、介護職をしている人間だ。

介護をしていると、利用者から暴力やセクハラを受けることがある。
たとえその原因が幻覚や疾患であったとしても、もちろん嫌だし、腹が立つし、すごく怖い。
だって、人間だから。
でも、この言葉を使うと、自分が人間であることを簡単に忘れてしまうのだ。


それは、「仕事だから」という言葉。

「私は職員だからいいですけど、もし利用者さんに何かあった時にはどうします?」
「仕事だからしょうがないけど」
こんな言葉をたくさん使って、私は自分が人間であることを自分にあきらめさせた。

「仕事だから」
この言葉が、どれだけ多くの人の心を追い詰め、人間でいることをあきらめさせたんだろう。

この言葉の恐ろしいところは、他の人が人間であることも忘れさせてしまうことだ。

電車が遅延した時、駅員さんをすごい勢いで怒鳴りつけているサラリーマンがいる。
その人はきっと普段から人を怒鳴りつけているわけではない。
駅員さんが「仕事をしている」人だから怒鳴りつけ、駅員さんも「仕事だから」我慢している。
そして、そのサラリーマンが怒る理由も「大事な仕事があったから」だったりする。
「仕事だから」という言葉は、簡単に人を変え、相手が人間であることも忘れさせてしまうし、自分が人間のままでいることをあきらめさせてしまう。

私たちは、ずっと人間なのに、どうして人間のまま仕事ができないんだろう?
どうしたら、仕事をしながらも人間でい続けることができるんだろう?

一番理想的なのは、職場に人間でいられる空間を作ることだと思う。

お客さんがいなくなった時、気を使わなくていい同僚だけになった時。
ちょっとただの人間に戻って、しんどかったことや苦しいことに共感してもらえると、それだけで大分救われる。

それが難しければ、自分が自分のことを人間として扱う時間を作る必要がある。
「仕事だから」という言葉の威力は絶大だ。
「仕事だから」休日を削り、「仕事だから」大事な予定を我慢する。
それが続くと、人間としての自分が死んでしまう。
仕事に自分が飲み込まれてしまう。

飲み込まれる前に、自分自身を大切にする機会を作ろう。
仕事を始める前の20年間に大切にしてきたことや、
今の自分がやりたいと思えることをやってみよう。

今日も、明日も、毎日、たくさんの人が働いている。
どの仕事の皆さんも、本当にお疲れ様です。
「仕事だから」が必要な時は、たくさんあると思います。
でも、私たちは「仕事をするための」人間ではないはずです。

「仕事だから」と「人間だもの」をうまく使い分けて、みんなで元気に生きていきたい。

だって、私たちはみんな、人間だから。

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