93日後にネタバレする【雑学の本】#2日目── 彫刻『考える人』は何も考えていない!?
彫刻「考える人」は何も考えていない
フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの代表作「考える人」。
全裸の男性が、座り込んで左ひざの上に右ひじをつき、右手にあごをのせて、何かを一心不乱に考えているように見える。
そのポージングや険しい表情から、男性の“考え事”の深刻さが伝わってくる。
しかし、じつはこの男、別に思索にふけっているわけではない。ではいったい、何をしているのか。
そもそも、この「考える人」は独立した作品ではなく、“神の手”を持つロダン畢生の大作『地獄の門』の一部なのだ。
ロダンが40年近くにもわたって制作し続けた『地獄の門』は、イタリアの詩人ダンテの長編叙事詩『神曲』の「地獄篇」を主題とした壮大な作品。
「考える人」は、この大作の上部に置かれた像で、地獄へと堕ちていく罪人を見下ろしているのだ。
真相は「ただ下を見ている」だけ
では、なぜ「考える人」と呼ばれているのか。
じつは、この像を鋳造したアレクシス・リュディエという人物がロダンの意図とはまったく異なるタイトルをつけたところ有名になってしまい、「考える人」は『地獄の門』から独立して単独の作品として知られるようになったのである。
なお、「考える人」のモデルは、一説には『神曲』の著者ダンテではないかといわれている。
★本書紹介
『身のまわりの「意外な勘違い」 なるほど雑学93』──博識な人でも間違える常識の大ウソ
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