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観る

こんにちは、久しぶりのnoteです
今回は僕の尊敬する映画監督、シャンタル・アケルマンの初長編作品を観たのでその感想をまとめます。
と言っても観たのは4月ですが、、まあまだまだ新鮮ピチピチの感想です🐟

そういえば友達に「おすすめの映画だいたいセックスじゃん」って言われたけど、うーん、否定できない。


私、あなた、彼、彼女

1974年制作の本作は後の多くの映画作家に影響を与えた、女性監督シャンタル・アケルマンが、当時24歳の自身を主人公にモノクロ映像で撮ったセルフポートレイト的作品。

相変わらずの長回しと独特の雰囲気がとても退屈で眠気を誘ってくる。そこが面白くて最高に好き。
ざっくりと成り行き任せに作られたかのような作品かと思ったら実は違う。
さりげない緻密さがまあ、アケルマンらしい。

自分を見つめ、君に見つめられ、彼を見つめ、彼女と見つめ合う。

食欲、睡眠欲、性欲、自分欲求など、アケルマン作品には三大欲求や人間の持つ欲が様々なところで描かれており、本作は欲求を介した「関わり」や、欲まかせの自由気ままに生きる「逸楽」がテーマになっていると感じた。

そして本作はタイトル通り四部構成になっている。
一部では自我を、二部では他者から一方的に見られ、三部では他者との関わりを、四部では他者との愛の交わりが描かれ、各部ごとに三大欲求の要素が散りばめられている。

全裸になり汚れを気にせず砂糖を貪り食う、欲のままに性行為しまくった結果デキ婚した男の一方的な話を聞き、好きな人とレスリングのような性行為を交わす。
登場人物全員がまさに欲のままに生きている、という感じ。

窓から部屋を覗いてくる通行人。
映画を観ている僕も「君」に当てはまっているのだろうか。
そう考えてみるとラストの長回し性行為シーンは、観るという欲塗れの消費行為に向けた攻撃のようにも思えてくる。
この作品はアケルマンの芸術に生きるという覚悟と、社会に対する宣戦布告なのかもね。

おもしろくはないが感覚的に美しい。

シャンタル・アケルマンという一人の作家を、一人の人間の覚悟と人生を知ることのできる映画だった。


短いけど最後までご愛読ありがとうございました。

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