双璧の誓盟 第十話 密話(三)
「残念。一人残っちゃった」
言葉と裏腹の愉快そうな声が陶器の落ちた残響に割って入った。
「ま、いっか。話の様子だとお兄さんの方がご主人? 護衛がいなくなっちゃったねぇ」
戸口に現れた女は、身を崩したロスとカエルムを交互に見てにっと笑う。カエルムがロスに駆け寄ろうとすると、女は瞬時にロスの真後ろに身を寄せ、カエルムをその場に止まらせた。
何を隠し持っているか分からない。挙動次第ではロスの身が危ない。
「月華草種子の許可なき乾燥及び水溶は不法だが」
「あらお兄さん、薬学にも