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北海道への想いを少し。

旅行の経験、といえば修学旅行とあの場所とその場所に行ったくらいだなぁと、さほど多くない、どころかむしろ少ない旅行の思い出を、近頃よく思い出している。

北海道へは、家族旅行と修学旅行と過去2回訪れた。空港から慣れない飛行機に乗り、雲と共にお空に浮かんで、座席の前のポケットの中身やらなんやらいじっているとあっという間に着陸、目的地に。緊張するけど、あの離陸の瞬間はジェットコースターに乗っているみたいで嫌いじゃない。どころか喜んでしまっている。

「行ったことがあるから」という理由でそれからは好きな場所に北海道が含まれた。

他に理由を挙げるとすると、美味しい食べ物(特に乳製品、魚貝類)、のんびりした空気、目に焼き付くように残る景色、腰もお尻も決まって痛くなる長時間移動、TEAM NACS、、、
とかいろいろあるけれど、たしかに北海道の魅力にとり憑かれた。好きな場所であることは間違いなかった。

そして普段は北海道のあるラジオ番組を毎週聴いていて、元気をいつももらっている。一週間のエネルギーをチャージする大事な時間になっていて、今のわたしに必要不可欠。

本当はこの日もそのパーソナリティーの方の声が聞きたくてしょうがなかった。

台風21号が日本に接近し、我が家は停電。家の電気関連のものは電池式でなければ当たり前のように使えなくなり、すぐに復旧するかと思っていたものの昼から夜中寝ている間まで戻らなかった。たった半日のことがものすごく長く感じた。気を張って家族にも自分にも平気なふりをしていたけれど、やっぱりやっぱり怖かった。

家の中も、窓の外も、暗い。写真を撮ってみても暗いまま。いつもの明かりがない。こんな夜は初めてだっけ。

九月にもなって夏は終わったのだろう。でもその日はまだ少し暑かった。エアコンだって扇風機だって使えないから、久々にうちわを使った。体は汗をかいてタオルが手放せなかった。

ラジオは付けていたが、わかりやすく情報が入ってくるテレビが機能しないなんて。まったく関係のない場所にいた方が情報は入りやすいんだろうと思った。

電気がないだけでいつもの暮らしに不自由が生じるって、普段どれだけ電気に頼っていたかを知らしめさせられた気がして、それだけでショックな気持ちだった。
環境にどれだけ恵まれていたのか。電気が通らない日のことを深く考えたことなんて今までなかったような……。

だからこんな時こそ、北海道からラジオを通して届く声を聴きたくなっていた。



その二日後。朝。台風の日、気を張っていたせいでだるい体をまだ引きずっていた頃。スマホを開いてラジオを付けて、思わず飛び起きた。

『北海道で地震。震度6強。全道停電。』

目と耳を疑った。
寝ぼけているだけ、夢だと信じたかった。

心配で心配で、準備をしなきゃいけないのにSNSが気になってばかりだった。

テレビを見れば地震関連のことばかり。情報を、情報を、と伝えていたけれど、全道停電の状況。肝心な北海道の皆さんのもとへは直接伝わっていかないのかと、むなしく思った。大事な情報も間接的に伝えるしかないのかと。

それでも、自分にできることをまずやるしかないんじゃないかな。だるい体を起こして行くべきところへ向かい、やるべきことをこなした。



あれから一週間ほど経ったが、だんだんと状況が見えては隠れるようになってきた。報道も少なくなってきてしまう。仕方がないが、できる限り知っていたい気持ちがある。

酪農業がとくに打撃を受けているみたいで。
北海道の牛の数は人口よりも多いって聞いたことがある。電気が足りない中、これだけ牛がいるのだから手作業で乳搾りなんて到底間に合わない。しかもうまく搾れないと病気になる可能性があることから、牛の総数が減ることも考えられる、ってことも聞いた。さらに、保管、加工、流通に電気は必須で、せっかく搾ったところで廃棄になってしまう、、、。

北海道で飲んだ牛乳はびっくりするほど美味しかった。ソフトクリームを食べたときだって、いつものとは違った。
まさかそんなところに影響が出ているとは……。ちょっとの悲しさでは済まなかった。



少しずつ少しずつもとの姿へ戻るように元気になるように願うばかりなのと、また北海道へ行きたいということ。次は牛さんに会いに行こうと昨日あたりに決めた。動物はちょっと苦手だけど、生命を感じられるのならば。ちょうど七月くらいならば富良野のラベンダーを観に行きたい。onちゃんに会いにHTBにだって行きたい (新社屋完成おめでとうございます!)。「行きたい」、「会いたい」は現在進行形で増えている。



北海道のあるラジオ番組のパーソナリティーは、道外の方に「どうか北海道のことを忘れないでください」と言っていた。

それを聞いてわたしは
「いや、リスナーやのに!北海道のこと好きやのに!忘れるわけないやん」
って、のんきにつっこんでいた。