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二十代にして、内視鏡検査を受けた男



(なんかお腹痛いなぁ)
(念のため消化器内科行くか)



先生「なるほど。お腹の痛みですね」
私「はい。そうなんです。」



「なるほど、わかりました」
「(薬貰って終わりかな)」





「内視鏡をしましょう」





「あ、はい」





え?






これは二十代にして、
内視鏡検査を受けた男の物語である






Q.内視鏡検査って?

A.カメラを使って、
大腸の異常を確認する検査だお!
肛門からカメラを入れるんだお!


Q.辛くない?

A.死ぬほど辛いぞ?
笑ってこれを見てるてめぇら覚悟しておけよ?

ケツ穴にカメラぶち込まれて、
ガタガタ言わせられる恐怖を教えてやる。


具体的にどのように行われていくのか。
記録を残していく。




【準備段階】編


①食事制限

②下剤投与

③腸内洗浄


事前の準備として、3つのことを行っていく。

①食事制限については、特に辛いことはない。
消化に良いものを中心に食べるだけ。

おかゆ、うどん、食パンをメインに食べてばOK。

②の下剤投与についても、
少し苦いが、コップ一杯の下剤を我慢するだけ。



本当に問題なのは、③腸内洗浄である。



これの何が問題か。
洗浄に必要な下剤が最大の問題になっている。

【モビプレップ】

この下剤を水に溶かし飲むことで、大腸内洗浄が行われる。



看護師さん「すっごくマズいので、少しずつ飲んでください」
私「はい、気をつけます(大したことないやろ)」



検査当日




これアカァァァァァァァァァン!!!!!!!


これが本当にまっっっっっっっっっっっずい。



水で溶かしているのに、さらさらしてない。
片栗粉を溶かしたように、少しねっとりとしている。
味が無ければ良かったのだが、そうはいかない。
薬品のような臭い。そして後味に少し酸味を感じる。




そう、この味を例えるなら・・・。




死ぬほどマズいねっとりとした梅ジュース。







『いやいやwでもこれもコップ1杯飲めば終わりでしょw』






では、こちらの水に溶かした下剤。






1リットル飲んでいただきます。





下ではなく、まずは上から洗浄されてしまうような下剤である。

しかし、これだけでは終わらない。




Q.下剤を飲み終わるとどうなる?

A.便意が始まる。




シャトルランの幕開けだ。

身体には何もないのに、肛門から水が止まらない。
自分の身体は、もはや前と後ろの区別も付かなくなったのかもしれない

『液体は前から』という概念が水に流されていく。

喜び、怒り、悲しみ、楽しみ。
全てを洗い流していく。


『無』



すべては無に帰る。全ては水だったんだ。
形状などない。ただの水だったんだ。



これを朝病院に行く前までに済ませる。



まだ折れるな。本当の検査はここからだ。




【検査】編


orz状態でベッドに横たわる穴丸出し(自分)
周りには大勢の看護師さん。

して・・・◯して・・・。

そんなことを考えながら検査を待っていると、

看護士さんが

『蛇』


を連れてきた。

おやおや、ここは病院ですよ?
ペットは禁止・・・。

笑いかけた私の顔から、次第に笑みが消えていく。



蛇じゃない。

あれは、カメラだ。



大蛇のように見えるそれはカメラ。
今から穴にぶち込まれるカメラ。
カメラなのだ。カメラなんだ。


餌は私だったんだ。



腐りかけた餌に先生が話かける。

始まる。内視鏡検査が。



先生「検査のため、ガスを注入しながら見ていきますね~」
私「あ、はい」



カメラ「プシュ~、プシュ~、プシュ~、プシュ~」
私「(んおおおおおおおおお!?!?!?)」




ガスを出すことはあっても、入れることはない。
膨張する大腸に圧迫される。

膨らまされている風船の気持ちが理解出来た気がする。
今度作る時は優しく入れよう。

どんどん中に入っていくカメラに恐怖を覚える。
腕がいいのか痛みはない。しかし、奥に進んでいくのがわかる。






どうなってしまうんだ。何の病気が潜んでいるのか。

その瞬間は刻一刻と迫っていた・・・。






先生「健康です」

いや、何も無かったんかーい!!!!





何もなかった安堵と、身構えていた疲れが一気に押し寄せる。
今日は美味しいものを食べよう。

何を食べようか考え、病室を後にしようとする。
帰り間際、先生のテーブルにあった資料が目に入ってきた。





『今月の目標は、◯◯件!』
『あと◯件、内視鏡の予約を取りましょう!』






いや、ノルマあったんかーい!!!!!!!!






ガスに引火した今日一番のツッコミは、
しばらく身体の中で燃え続けていた。

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