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第九話 雛菊への返し文

 私は文に目を落としたまま、堪えきれず思わず吹き出してしまった。すると隣で刀の手入れをして居た才四郎が、不思議そうに私を見上げて、釣られて笑いながら声を掛けて来た。 

「どうした。ひなの手紙、そんなに面白いことが書かれているのか」

 私は彼を見て、小さく頷いた。

「お師匠様は本当に面白くて……情け深い方なのですね」

 私が言うと、途端、彼は顔をしかめて、いやいやと、大げさに首を振る。

「は? その意見には賛同しかねるな。俺たちは何度となく、あいつに殺されかけているからな」

 私たちは、先月、叔父上の寺に着いた。そして、二十日程前に祝言を上げて、才四郎と晴れて夫婦になった。

 その後に……彼と今後のことについても話し合った。

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2,900字
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