君の胃袋を奪いたい🍛

シナリオセンター課題⑤

課題「1年間」

☆人物
白鳥美羽(24)丸の内OL
風早隼一(25)SE・美羽の恋人
鈴木梨恵(24)ネイリスト・美羽の親友
白鳥勇太(21)役者の見習い・美羽の弟
料理教室の講師

◯美羽のマンション・LDK(夕)
   窓の外は、雪が降っている。
   白鳥美羽(24)がクリスマスツリーを倒す。
美羽「別れたくないよ!どうして?なんで?」
   美羽、手袋で風早隼一(25)を、叩く。
風早「美羽、ごめん。でも、このままじゃあ
 俺の胃が、もたないんだ」
   風早、胃薬を一口飲む。
美羽「私の料理が、美味しくて食べ過ぎちゃ
 うんだよね?知ってるよ!」
   テーブルの上には、青色のスープの鍋
   や、真っ赤なシチューが置いてある。
風早「今回は、さすがにキツい。別れよう」
   美羽、風早の胸で、泣きわめく。

◯美羽のマンション・駐車場(夜)
   風早、服の胸部分が、濡れている。
風早「これからは、お互いの道、頑張ろうな」
   風早、美羽の手をぎゅっと握る。
   走り出す車。
   美羽、泣き崩れる。

◯風早の車の中(夜)
   お腹を苦しそうに抑える風早。
   空っぽになった胃薬。

◯埼玉・岩槻駅前・外
   チューリップや桜が咲いている。
   美羽のくしゃみの音。
美羽「ほんと花粉症辛い~かゆい~辛い~」
   鈴木梨恵(24)が、ティッシュを差し出す。
梨恵「隼一くんに振られた辛さよりマシよね」
美羽「比べないでよ!私、絶対に隼一を見返
 してやるんだから!」
   美羽、雛人形を前に指でハートを作る。
   美羽と梨恵、改札に入る。

◯走る電車

◯恵比寿XYZクッキングスタジオ・中
   生徒たちが、料理をしている。
   テーブルの上に、青色の味噌汁がある。
美羽「うん、美味しい!いつもの味だぁ」
梨恵「ある意味芸術だよ美羽。しかも味音痴」

◯浅草・隅田公園・外(夜)
   人々が、浴衣を着ている。
   夜空に、花火が打ちあがる。
美羽「わぁ綺麗。隼一とも来たかったなぁ」
   美羽。小さくため息をつく。
梨恵「ほんと未練タラタラだね。男は、胃袋
 をつかめって言うよ?」
美羽「もっと、もーっと、頑張ってみる!」

◯恵比寿XYZクッキングスタジオ・中
   内装が、ハロウィン仕様である。
美羽「私、天才!」
   テーブルの上には、きのこマリネ、か
   ぼちゃの煮物、焼鮭、炊き込みご飯が
   置いてある。
講師「白鳥さん、ずいぶんと上達したわね」
   美羽、にこやかにタッパーに詰める。

◯美羽の実家・中
   白鳥勇太(21)が、台本を読んでいる。
美羽「勇太!これ食べてみて!」
   全力で、首を横に振る勇太。
勇太「姉ちゃんの料理だけは、絶対にイヤ」
美羽「いいから!」
   勇太、渋々、恐る恐る食べる。
勇太「え、ウマッ。え?なんで?は?」

◯美羽のマンション・LDK(夕)
   窓から見える、2つの雪だるま。
   空になった皿や、茶碗がある。
美羽「隼一がまた隣にいるの、夢みたい」
風早「美味しかった。頑張ったんだな、美羽」
   風早、美羽の頭をポンポンする。
   美羽、涙をこぼす。
美羽「最高のクリスマスプレゼントだぁ」