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FLTが始まってないからまだ生きていたい。


 騎士竜戦隊リュウソウジャーファイナルライブツアー(以下FLT)全公演中止のお知らせが来た。

 一向に減らない感染者の数や、日々深刻さを増す今の状況の中では、例え無観客でもやはり、キャストとスタッフが一堂に会することが既に危ないというのは日々報道を見ていたら納得しかしないし、これで強行して万が一ヒーロー番組のイベントで感染が…なんてことになるリスクを主催者側が取るとも思えなかったし、(それでもギリギリまであらゆる可能性を考え粘ってくれたスタッフの方々には心から感謝したい)むしろ全公演中止は妥当な判断とさえ思うが、実際に知らせが来た時は言葉も出ないほどショックを受けた。

 出演者たちから無念の声がツイートされるたびに、何か言いたいような、でも無理やりに前向きなことを言う気にもなれず、かと言って後ろ向きなことを言うのもお門違いという感じで半日ほどウジウジウジウジべじょべじょべじょべしょ打ちひしがれていたが、今日は前向きでも後ろ向きでもなく「横向き」に、リュウソウジャーのFLT中止について考えたことを書いておきたい。(前向きにも後ろ向きにもなれない時、私はよく横向きになる。ぼんやり横を向いていると、前にも後ろにも進まないが、いつもより周りの景色がよく見える気がするのだ。)

 リュウソウジャーと駆け抜けてきた一年以上に渡る、色んな風景を思い出しながら、ふと、
リュウソウジャーのFLTはまだ終わっていない、というより「始まっていない」んじゃないかということ。それから、私たち戦隊のファンは、「時間を超えて好きでいることだけは得意」じゃないか、ということを思った。

 これは私が実際に特撮のオタクをやっていて思うことだが、放送10周年のイベントなどで出演者の方が「10年も経ったのにまだ忘れないでいてくれてありがとう」とかよくおっしゃるが、ファンとしてはまず「忘れる」という選択肢がないので不思議だなあと思ったりする。

 その作品を知り、毎週楽しく見る、登場人物を友達のように思いながら応援する。おもちゃを買い、友人と語り合い、封切りの映画館に行き、ヒーローショーに足を運ぶ。そういう一つ一つの体験が、私たちを時間を超えて、魔法使いの家族の一員にしたり、忍者や警察官や快盗にし、動物の国や天空への冒険に導き、ソウルを一つに戦うリュウソウ族にしてくれる。大人でも子供でも、男でも女でも。そして一度夢中になったその世界のことを、人はかんたんに忘れたりしない。

 だからたとえそれが十年、二十年先でも、「もうリュウソウジャーはいいや」「昔の番組だし、もう好きじゃない」なんてことには絶対に、絶対にならないし、もし「リュウソウジャーの続き」が始まったらその時に何歳だろうと、どういう家庭状況だろうと、どこに住んでいようと、その時何を見ていようと、私たちはいつでもリュウソウジャーの最終回を見終わって「次はFLTだ!」と思っていた「あの日」に一秒で戻れる自信がある。

 今、くやしくて悲しくて寂しい気持ちのひとりひとりが、なんとか元気で生き延びることができたら、きっと今と同じようにリュウソウジャーを大好きなまま「あの日」の続きをきっとみんなで迎えられるかもしれないというのは、ちょっと照れくさいけど「未来への希望」みたいなものになりえると思う。

 リュウソウのFLTがいつか「始まる」のを、またみんなに笑って会えることを、私は今も昔もわくわくしながら、リュウソウゴールドにいつ求婚されてもいいよう印鑑と通帳を握りしめつつ待っている。

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