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優しくない大富豪

ある日、もう真夜中近く、SMSが来た。それに気づいたのは、朝。
SMSの内容がよくわからずに、朝食を食べて落ち着いてから電話をすると、もうパリを出たとのこと。
え⁉️置いてかれた?🤯
彼は、「電車で来れば大丈夫だよ。来方は、後でメッセージするよ。」と。
なんか冷たい。。電話一本くれたらよかったのに。。なんとなく腑に落ちない思いを抱えつつ、メッセージを待った。
やがて来たメッセージ。電車での行き方が書いてある。タクシーを呼んで、駅に向かった。
フランスの電車にはあまり乗ったことはないので、一体全体、どのように切符を買うのか、今一つ自信がない。それでも、どうにかこうにか切符を買って、電車に乗った。初めて行く場所、ちゃんと辿りつけるかちょっぴり不安。窓から見える風景が見慣れない。2、3時間?すると、雪がちらほら見えてきた。
日本の新幹線にあたるTGVだが、ここからはローカル線になるようだ。一旦降りて、別のホームに行かなくてはならない。重い荷物を持って、心細さと重さで、泣きそうになりながら、ホームを移動する。
行き先を確認して乗車。
めちゃくちゃローカルな電車。
スキーの道具など持った人が目立つ。なんとなくほっとする。
電車の窓からは、どんどん田舎になっていく風景。少しだけ、心が弾む。
駅の名前が見えて、「今どこそこ駅。」とメッセージする。
やがて、Moutier(ムティエ)とアナウンスがあった。いよいよ❣️到着❣️ 少しだけ心配だけど、ワクワクの方が大きい。
降りると、同じようにスキーに来た人達がいて、みんな他の電車や駅では見られないおしゃれさ、高級感にあふれた格好をしている。ホームに彼が迎えに来てくれていた。隣に、ニット帽を深くかぶった女の子がいる。ちょっぴり不機嫌そう。「?」と思ってると、彼が「娘だ。今日は、体調が良くなかったから、スキーに行かなかったんだ。」
「ボンジュール。」
と声をかけるけど、あまり反応がない。
なんとなく違和感を感じながら、車に向かった。

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