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岸田奈美ちゃんから学ぶ 〜「SERI 〜ひとつのいのち」アフタートークの御報告〜

舞台「SERI 〜ひとつのいのち」東京公演(銀座・博品館劇場)と大阪公演(松下IMPホール)が無事終了。それに続き、松山と広島での8K劇場上映(イオンシネマ)が行われた。

記実すべきことがたくさんあるのに、日々の業務に追われ(言い訳)、アメブロの更新もなかなかできず、でも残しておかなくてはならないので、まずこちら(note)で御報告。

東京公演の中日、舞台上演後のアフタートークが施行された。
終演後に舞台役者やクリエイターたちがステージに上がって、作品の裏話的なトークをお披露目するというのが通例だが、総合プロデューサーの宋さんから原作者の私に登壇リクエストをいただいた時に、私が同席していただきたいとお願いしたのが、岸田奈美ちゃんだった。

note読者の皆さんは御存知の通り、彼女とはボルボの話で繋がり、そこからズームや電話で話したり、メッセを交わしたりと、静かに親交を深めてきたのだけれど、実はリアルでお会いしたことがなかったのだ。
宋さんから正式に彼女の所属事務所にオファーを入れていただくと、京都(彼女の居住地)から東京に駆けつけると、嬉しいお返事が!


さて、当日。
奈美ちゃんは台本や打ち合わせなど、事前のインプットは一切したくないとのことで、彼女とマネージャーさんと私の3人は、横に並んで観劇をした。
宋さんが用意してくれた前から6列目の席。
今回の公演であんなに前方の席に座ったのは、後にも先にもあれきりで、涙や指先の細かい動きまで、演者の表情がよく見てとれた。

私はなるべく感情を入れないようにして、生演奏される音楽の調べや、舞台の隅々に渡るきめ細やかな演出を見届けようと心していた。
感情を入れてしまうと、いろんなフラッシュバックが起こり、冷静でいられなくなるのは分かっていたから。
ふと隣の席を見ると、奈美ちゃんの目は舞台に釘付けなのに、手に持つペンがすごい速さで動いていた。すべての感情を、一瞬たりとも忘れないようにメモ書きをするという、暗闇の中でのそれは、はっきり言って職人技。

                ©️オノデラカズオ@conSept                                                                                                                   

カーテンコールが終わると、私たちは舞台裏に向かった。
(私は原作者として客観的に判断できないので、舞台の中身については、こちらをご覧ください。)

登壇メンバーは、千璃役の山口乃々華ちゃん、美香役の奥村佳恵さん、医師役の植本純米さん、そして奈美ちゃんと私。
つい5分前まで、別の世界にいた役者さんが、素の顔で目の前にいるのも不思議な感じ。
MCを務める純米さんはさすがの技量で、2つの世界に生きる私たちを上手にリードしてくださった。
自分が演じた役が目の前で生きていたら、やりにくいだろうなと思いながらも、乃々華ちゃんと佳恵さん、そして純米さんの素直な感情と感想を直接聞くことができたのが、まず何よりも嬉しかった。

そこで改めて感じたのは、奈美ちゃんの話のうまいこと。以前彼女が話をしながら流れるようにnoteを書いていた動画を見たことがあったけれど、彼女の言葉選び、文章の作り方は、彼女のオリジナリティー、彼女の思考回路そのままなのだと痛感した。

テーマは「原作者と障害について考える」だったけれど、あまり深刻にならずに本音を語る機会という意味で、とても貴重な時間となった。
奈美ちゃんから学んだことのなかで、特に障害を持った「きょうだい児」としての心情を聞けたことは、何物にも代え難い。

彼女にとって、障害のある弟がいることはあまり関係なかった。それよりも、自分の親が自分にどう接してくれているかの方がよほど重要だったと。
そこで私は激しく頷くしかなかった。大いなる反省と共に。

いやそもそもこの舞台が、私にとって大いなる反省でしかなかったのかもしれない。

宋さんの企画は、最初から「SERI」をテーマにすることだった。私が暗闇の中を手探りで歩き綴った日記は、あくまでも私の主観、独りよがりの感情の記録でしかなかったけれど、それを舞台で表現するには、複数の人間の想いが必要だった。
何が正解か分からずに、私がどんなに悩み苦しんでいたとしても、結局それは母親のエゴでしかなくて、娘は単純に泣いたり笑ったりして、生きることに真っ直ぐだったのだと。

「私も完璧じゃない
 何かが欠けて だけど特別で
 補い合って 世界はまわってる
 いらない人など この世にいない
 あの子がそれを 教えてくれる」   ©️高橋亜子/conSept

「諦めない
 無理して 笑ったりしない
 強がったり 我慢したりもしない
 伝えられない でも信じることをやめない
 そんな ひとつのいのち」     ©️高橋亜子/conSept

ここで多くを語り切れないけれど、脚本・音楽・演出すべて、本当に完成度の高い作品であったこと、関係者の皆様に改めて御礼申し上げます。
(すっかり第三者目線になっていますが)こういった秀逸な作品を埋もれさせていくわけにはいかないから、この先もメッセージを伝え続けるための活動を試行錯誤中。

何か良いアイディアあったらお知らせください。
作品を子供たちに観せたいという学校関係者からのお問い合わせ受付中。
また奈美ちゃんとのアフタートークの動画、限定公開しますので、ご興味ある方はDMください。

©️オノデラカズオ@conSept
©️オノデラカズオ@conSept

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