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食の原点、狩猟採取。野生動物と分け合いながら、原野からの山野草を味わう。

あまから手帖 連載「食からSDGs」2022年 6月号より
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約 1 万年前からの農耕以前、人類は 260万年間狩猟と採集で食べていた。 生産した食べ物を市場で 買うことが 当たり前になった 現在、 山野草は自然の中から 採るという、食 べ 物の原点を 考えさせてくれる。

ご覧ください。道端に生えていれば “雑草”として見過ごしてしまいそう だが、これらは京都・大原の福永重孝さんが山に分け入り採集した、どれも 食べられる山野草だ。

ミシュランシェフも心酔する、野生の味わい、山野草

「昔ながらの身近な植物を食べる風習が、今はそれが忘れられている。 もっと食べてもらいたい」と、小規模 な小売店や料理人に販売している。

一般に流通することがない野草は希 少食材。料理人には、野趣と郷愁をか きたて、料理にインスピレーションを もたらす。
福永さんの野草を扱う八百 屋『Gg‘s』の 角谷香織さんは、取引 先のシェフから山野草を使いたいとい う相談が増えていると言う。

「でも最 初に“便利じゃない”ことを説明して います。山野草はタイミングに大きく 左右されるものだから」。
福永さんの山野草採集は、時期と 天候を見計らい、知識と記憶だけを頼りに脚と手で行う。まるで“植物のジビエ”猟師のようだ。猟師と違う点は、 獲物を野生動物たちと分け合うこと。

「採ろうと思ったら先に鹿さんに食べられてい ることもある。自然は人間だけのもの じゃない。動物と一緒に守っていかな いと」。

人も獣が共存しながら、260 万年以上持続してきた平等で多様な 食のフィールドからの、大切な教えだ。


“山野草のバカボン”こと、福永重孝さんの活動はフェイスブックで公開している。ほか、グ ル ープメン バ ー の 投 稿 も 閲 覧 可 能 。


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